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第28期竜王戦七番勝負第4局 糸谷竜王、早くもカド番に
第28期竜王戦七番勝負の第4局は、後手の挑戦者・渡辺明棋王が98手で糸谷哲郎竜王を破り、対戦成績を3勝1敗としてタイトル奪回に王手をかけました。

本局は先手の糸谷竜王が力戦調の中飛車を指し、序盤から積極的に攻勢に出ましたが、相手の渡辺棋王に上手く受けられ、その後の攻めにも的確に対応されて、最後は大差で負けてしまいました。

まあ、タイトル戦にしてはあまりにもひどい内容の将棋で、中盤以降は観戦するに堪えない一局となってしまいました。


ポイントとして挙げる局面はほとんどないのですが、ひとつ腑に落ちないのが下図の次の一手です。

竜王戦第4局28手目

本譜は▲4五銀と引きましたが、折角出て行った銀をここで退避させる手に疑問を持ちました。5三に歩も打たれていないのに自ら引く手は損な感じです。ここは▲3八玉(変化図)と寄せて相手の出方を待つ方が良かったと思います。

竜王戦第4局変化図

変化図から△5三歩なら思い切って▲3三角成として、次に▲7一銀の割り打ちを狙います。
また△4四歩にも▲5五角と出て、角銀交換のあとやはり▲7一銀の割り打ちが生じます。
さらに△4四銀なら▲4六歩と指して、相手の指し方次第で先手玉を固める方向に持っていけると思います。


本局は明らかに先手の作戦負けで、勝負所のない対戦となりました。

次局以降は、糸谷竜王がもっと気持ちを引き締めて巻き返しを狙えるような将棋をみせて貰いたいですね。

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第28期竜王戦七番勝負第3局 渡辺棋王、2勝1敗でリード
1勝1敗のタイで迎えた第28期竜王戦七番勝負の第3局は、123手でもって先手番の挑戦者・渡辺明棋王が糸谷哲郎竜王を破り、対戦成績を2勝1敗としました。

戦型は後手の糸谷竜王が得意としている一手損角換わりでした。対して渡辺棋王が取った作戦が棒銀からの攻めで、糸谷竜王も強気の構えで応対し中盤頃に馬をつくって反撃を窺う展開になりました。
その後渡辺棋王が巧みな手を指して後手玉に迫っていき、糸谷竜王も最後まで粘り強く抵抗しましたが及ばず、結果渡辺棋王の勝ちとなりました。

一局を通して面白い将棋でしたが、形勢はずっと先手の渡辺棋王の方が良かったように感じました。


部分的には糸谷竜王にもチャンスはあったようですね。それが棋譜コメントにも書いてあった下図の局面で、

竜王戦第3局75手目

本譜の△4二香に代えて△8四桂なら難解だったとのこと。この△8四桂はなかなか気づかないですよね。以下▲7三歩成△同金▲7四歩△同金▲7二金△6三玉▲5一竜(変化1図)と手順が示されています。
そこで、それ以後の変化を検討してみました。

竜王戦第3局変化1図

変化1図から△7五歩▲4六銀△同馬▲同歩△7六桂▲同金直△同歩(△7八金以下の詰めろ)▲6二角成△5四玉▲6三角△4三玉▲5二馬△3三玉▲3四銀△2四玉▲2五銀△同飛成▲同馬△同玉(変化2図)となり、一見後手玉は詰まなさそうですが、次に▲2六歩と打たれると6三の角の利きが大きいため逃れるのが大変そうです。

竜王戦第3局変化2図

他にも変化はありますが、正しく指していけば先手の方に分があるように思われます。詳しくは専門誌の方で解説されるでしょう。


得意の後手一手損角換わりで破れた糸谷竜王ですが、次局でどう巻き返すのか期待したいと思います。

前回のブログ記事で渡辺棋王の指し手に注目と書きましたが、本局でその場面がいろいろと現れ、観ていて楽しい将棋でした。

第28期竜王戦七番勝負第2局 1勝1敗のタイに
第28期竜王戦七番勝負の第2局は、後手番の挑戦者・渡辺明棋王が68手で糸谷哲郎竜王に勝ち、これで1勝1敗のタイとなりました。

戦型は第1局と先後を入れ替えての横歩取りとなり、渡辺棋王が早々に動いて飛車交換する激しい展開となりました。その後先手の糸谷竜王が打った飛車を切って馬を作り、さらに7筋方面から攻勢を掛けようとしましたが、渡辺棋王の反撃にあって受け一方となり、最後は短手数で先手玉が寄せられてしまいました。


ポイントとなる局面はいろいろあったと思いますが、私は封じ手に疑問を持ち下記に取り上げました。下図は封じ手前の局面です。

竜王戦第2局44手目

その封じ手は▲6五桂でしたが、後手は直ぐさま△1五角と出て▲7四歩に△4八角成が厳しく、以後先手は防戦一方で為す術なしという状態に・・・。糸谷竜王がスピード計算を誤ったかもしれませんね。

上図から桂馬を跳ねるのはいつでも出来ますから(準備が整っているので)、ここは一旦▲3四馬と相手の角に嫌みをつけ、以下△2六飛▲2七銀△3七歩▲同桂△同桂成▲同金(▲同銀は形が悪い)△2七飛成▲同金△2九飛に▲3九桂(変化図)と受けてどうだったでしょうか。

竜王戦第2局変化図

変化図から△1五角なら▲2六歩と止めることが出来ます。後手の攻めが止まれば、先手はあとで桂馬を跳ねて攻めることが出来るでしょう。こうなれば本譜よりは先手も戦えていたんではないでしょうか。


糸谷竜王が今回の負けをどう感じているのか分かりませんが、次戦は切り替えて新たな勝負に望んで貰いたいですね。
(渡辺棋王の指し手にも注目したいです)