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第63期王座戦五番勝負 佐藤天彦八段タイトル獲得に王手
昨日(9/24)指されていた第63期王座戦五番勝負の第3局は、後手番の挑戦者、佐藤天彦八段が羽生善治王座を86手までで破り、対戦成績を2勝1敗として初のタイトル獲得に王手をかけることになりました。

戦型は第1局同様横歩取りとなり、23手目に先手の羽生王座が手を変えて新たな展開になりました。後手の佐藤八段が1筋の歩を伸ばして先に仕掛け、これに対して羽生王座が攻めの対応をとりましたが思うように運ばず、終盤は佐藤八段の見事な寄せで羽生王座に完勝しました。

この対局も前局同様羽生王座が自ら墓穴を掘る格好になってしまい、「一体どうしてしまったのだ?」と言いたくなる内容で、このままだとタイトル防衛が怪しくなりそうです。


私が観戦していて腑に落ちなかったのが下図の次の手。

王座戦第3局44手目

上図は一手前に羽生王座が▲2一角と打って勝負にかけたところ、後手が相手の飛車先の筋を遮るために△2四歩と守った局面です。本譜はこのあと▲3七桂と跳ねて桂馬を活用する手段をとりましたが、のちに後手に旨く対応され、結果▲2一角が空振りに終わってしまいました。

角を使ったのであれば上図から▲3二角成と指して、以下△同銀に▲2二金△4一銀▲1一金(変化図)と香車を手にして戦った方が良かったと思います。

王座戦第3局変化図

変化図から先手の金が遠くに見えますが、後手からの早い攻めもなく、と金の遅早じゃないですが、金の遅早で攻めていけそうに思えます。また、香車を手にしているので(後手に歩がないことを利用して)▲8六香という手がどこかで使えそうです。


なんだかこのところ羽生王座に精彩がなく、ひと頃の強い将棋はどこにいったのでしょうかね。第1局では見事な指し回しで相手を寄せ付けない内容だったのに・・・。

次局でタイトルが移動するのか、はたまた最終戦まで縺れるのか、楽しみなシリーズとなりそうです。

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第63期王座戦五番勝負第2局 挑戦者勝ってタイに
昨日(9/17)指された第63期王座戦五番勝負の第2局は、先手番で挑戦者の佐藤天彦八段が羽生善治王座を115手までで破り、対戦成績を1勝1敗のタイとしました。

戦型は角代わり腰掛け銀で、先に仕掛けたのは佐藤八段からでした。途中後手の羽生王座も9筋から攻撃して先手玉を潰しにかかりましたが、攻めが細く、終盤に進むにつれ形勢は先手の方に傾き、そのまま先手の圧勝となりました。


王座戦第2局65手目

見所は特にありませんでしたが、ただ感想戦で触れられていた上図の局面、次の手で本譜の△8三飛ではなく△8四角(変化1図)の方が後手にとっては良かったのではと・・・。

王座戦第2局変化1図

棋譜コメントには変化1図から▲5八金以下の手順で▲9七歩には△6六歩とありますが、そこは△同香成とし、以下▲同玉△8五歩▲8八玉△8六歩▲同銀△6六歩(変化2図)という流れで後手もやれそうな気がします。

王座戦第2局変化2図

変化2図から7三の桂馬をどこかで旨く跳ねられれば、そう悲観することはないでしょう。


この対局は羽生王座にとってらしからぬ内容で、自分から身を崩してしまった不出来な将棋だったと思います。

これで両者タイの成績となり、(観戦者から見れば)この先の行方が面白くなりそうです。

第63期王座戦五番勝負第1局 まず羽生王座の1勝
第63期王座戦五番勝負の第1局は、先手の羽生善治王座が挑戦者の佐藤天彦八段を109手で破り、タイトル防衛に向けて好発進となりました。

戦型は佐藤八段得意の横歩取りとなり、途中桂馬を早めに跳ねて積極的な姿勢をみせましたが、中盤から終盤に進むにつれて形勢が先手の方に傾き、最後は羽生王座がきれいに後手玉を寄せました。

途中までは後手の佐藤八段の方が形勢良しと思われたのですが、下図の局面以降でぬるい手が出てしまい、大きなチャンスを逃した感じが致します。

王座戦第1局45手目

上図は後手が△8六歩と打った後に先手が▲5六歩と角道を止めた局面です。このあと△8七歩成▲同金に△3四銀と指しましたが、この△3四銀がぬるい手で形勢を損ねたように思えます。

△3四銀に代えてここは△3六歩(変化1図)と打っていたら先手陣が乱れたでしょう。

王座戦第1局変化1図

変化1図から▲同歩は△3七歩ですから▲4八金と守りますが、以下△3七歩成▲同金△3六歩▲同金△同角▲同飛△4五金▲2六飛△同飛▲同歩に△3九飛(変化2図)という手順で後手が優勢に戦えていたと思います。

王座戦第1局変化2図

変化2図となっては先手に大駒の持ち駒はありますが盤面上攻めの駒がほとんどなく、後手の攻めが続きそうです。


このところ躍進著しい佐藤天彦八段ですが、羽生王座を前にしてはタイトル戦で優勢を維持するのも大変そうです。

次局は是非いい将棋を指して貰いたいです。