第55期王位戦七番勝負の第7局が24・25日に指し行われ、結果羽生善治王位が挑戦者の木村一基八段に119手で勝ち、対戦成績を4勝2敗1持将棋(引き分け)として防衛を果たしました。これで羽生王位は王位戦4連覇を果たし、通算獲得数は16期となりました。また、自らの持つ7大タイトル通算獲得数の記録も89期に伸ばしました。
本局の戦型は4度目の矢倉戦となり、定跡通りに駒組みが進み、途中までは第2局と同じような展開でした。そののち、後手の木村八段が手を変え、中終盤の戦いへと進みました。
形勢は後手の木村八段がやや有利かとみていましたが、どこか錯覚があったのか下記の局面以降は疑問点が多く、最後はあっけなく羽生王位に負かされてしまいました。

上図から本譜は△6二飛と逃げましたが、ここは△同飛でも問題なかったと思います。以下▲2一銀不成△同玉▲2四桂に△3二銀と受けて大丈夫そうです。
上図からさらに数手進んで下記の局面でも木村八段がおかしな手を指してしまいました。

本譜は△3三銀と指しましたが、これが結果的にはマイナスになってしまいました。ここは棋譜コメントにもありますように△3二銀と堅く守るべきで、それなら後手が優勢のまま進められたでしょう。
終盤になって木村八段のちぐはぐな指し手が続き、最後はあっけない幕切れとなりました。
折角前局で木村八段が見事な寄せを披露しただけに、本局の内容にはがっかりさせられました。
まあ、それでもシリーズをいくらか盛り上げてくれたことには一将棋ファンとして感謝しますが、うーん、やっぱり・・・。
本局の戦型は4度目の矢倉戦となり、定跡通りに駒組みが進み、途中までは第2局と同じような展開でした。そののち、後手の木村八段が手を変え、中終盤の戦いへと進みました。
形勢は後手の木村八段がやや有利かとみていましたが、どこか錯覚があったのか下記の局面以降は疑問点が多く、最後はあっけなく羽生王位に負かされてしまいました。

上図から本譜は△6二飛と逃げましたが、ここは△同飛でも問題なかったと思います。以下▲2一銀不成△同玉▲2四桂に△3二銀と受けて大丈夫そうです。
上図からさらに数手進んで下記の局面でも木村八段がおかしな手を指してしまいました。

本譜は△3三銀と指しましたが、これが結果的にはマイナスになってしまいました。ここは棋譜コメントにもありますように△3二銀と堅く守るべきで、それなら後手が優勢のまま進められたでしょう。
終盤になって木村八段のちぐはぐな指し手が続き、最後はあっけない幕切れとなりました。
折角前局で木村八段が見事な寄せを披露しただけに、本局の内容にはがっかりさせられました。
まあ、それでもシリーズをいくらか盛り上げてくれたことには一将棋ファンとして感謝しますが、うーん、やっぱり・・・。
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第62期王座戦五番勝負の第2局が昨日(9/18)行われ、結果108手までで後手の羽生善治王座が挑戦者の豊島将之七段を破り、これで2連勝として早くもタイトル防衛に王手をかけました。
戦型は角換わり腰掛け銀の最新形で、両者の指し手に注目していましたが、終盤になるにつれて徐々に後手の羽生王座がペースを掴んで優位に進め、そのまま勝利しました。
途中、後手の6六の歩を先手がどこかで取れなかったのかが疑問で、最後豊島七段が羽生王座に押し切られてしまった印象でした。
・・・で、そのことよりも前の時点で私が気になった局面を下記に取り上げました。

上図は4五を拠点に先手から攻め合った後の局面ですが、本譜はここから▲2四歩~▲2五歩として将来2四の地点に桂馬を打ち込む空きを作る作戦に出ましたが、結果思ったほどの成果はなかったようです。
代わりに上図で▲5五銀と打ち込み、△4五銀に▲同飛(変化図)と指す手はなかったでしょうか?

変化図から△7三銀には▲4三歩と叩いて後手の守りを弱める筋がありそうです。これで旨くいくかは分かりませんが、先手が押し気味に進められるのではないかと・・・。
しかし、豊島七段は勝てないですね。羽生王座の前では平凡な手ばかり指しているように思えます。これといったサプライズもないですし、今一つ研究の成果が発揮されていない感じです。
このままでは、羽生王座の3連勝でこのシリーズ終わってしまうのではと寂しい気がします。豊島七段に意地を見せて貰いたいですね。
戦型は角換わり腰掛け銀の最新形で、両者の指し手に注目していましたが、終盤になるにつれて徐々に後手の羽生王座がペースを掴んで優位に進め、そのまま勝利しました。
途中、後手の6六の歩を先手がどこかで取れなかったのかが疑問で、最後豊島七段が羽生王座に押し切られてしまった印象でした。
・・・で、そのことよりも前の時点で私が気になった局面を下記に取り上げました。

上図は4五を拠点に先手から攻め合った後の局面ですが、本譜はここから▲2四歩~▲2五歩として将来2四の地点に桂馬を打ち込む空きを作る作戦に出ましたが、結果思ったほどの成果はなかったようです。
代わりに上図で▲5五銀と打ち込み、△4五銀に▲同飛(変化図)と指す手はなかったでしょうか?

変化図から△7三銀には▲4三歩と叩いて後手の守りを弱める筋がありそうです。これで旨くいくかは分かりませんが、先手が押し気味に進められるのではないかと・・・。
しかし、豊島七段は勝てないですね。羽生王座の前では平凡な手ばかり指しているように思えます。これといったサプライズもないですし、今一つ研究の成果が発揮されていない感じです。
このままでは、羽生王座の3連勝でこのシリーズ終わってしまうのではと寂しい気がします。豊島七段に意地を見せて貰いたいですね。
羽生善治王位が4連覇防衛に王手をかけている第55期王位戦七番勝負の第6局が昨日(9/11)指し終わり、結果109手までで挑戦者の木村一基八段が難しい終盤を勝ち抜き、対戦成績を2勝3敗1持将棋としました。
戦型は今期3度目の角換わりでした。
観戦していて気になった局面がありましたので、以下に取り上げました。
下図は羽生王位が△3五歩と先に仕掛けた局面ですが、自玉に近い歩をぶつけるこの手にはさすがに疑問を持ってしまいました。

局後の感想で羽生王位も話していましたが、やはり陣形の乱れが生じ、リスクを抱えたままでの戦い方には納得できませんね。
(普通に指すなら△7三桂くらいでしょうか)
2日目に入っての下図の△6九飛もやや疑問な手。

▲7八銀以下本譜のように指されてしまうと、あまり驚異もなかったように思えました。
ここは△7五歩でどうだったでしょうか?
そして話題になったのが94手目の△2一桂のところで、代わりに△4一桂(下図)なら後手の勝ちだったとのこと。

△4一桂は一見▲同銀不成でタダみたいですが、次に△9五歩と指されると先手の勝ち筋が見当たりませんね。これには驚きました。
上で疑問と言っていた△6九飛がここで生かされるのですね。(△5八龍が詰めろなので)
最終盤の難解な局面では、木村八段が▲2五桂(99手目)から相手玉を寄せる手順を発見し、最後見事に寄せきりました。
危うく負けの局面があったなか、木村八段が勝利したことによって、このシリーズ面白くなったように思います。
次局の展開に注目です。
戦型は今期3度目の角換わりでした。
観戦していて気になった局面がありましたので、以下に取り上げました。
下図は羽生王位が△3五歩と先に仕掛けた局面ですが、自玉に近い歩をぶつけるこの手にはさすがに疑問を持ってしまいました。

局後の感想で羽生王位も話していましたが、やはり陣形の乱れが生じ、リスクを抱えたままでの戦い方には納得できませんね。
(普通に指すなら△7三桂くらいでしょうか)
2日目に入っての下図の△6九飛もやや疑問な手。

▲7八銀以下本譜のように指されてしまうと、あまり驚異もなかったように思えました。
ここは△7五歩でどうだったでしょうか?
そして話題になったのが94手目の△2一桂のところで、代わりに△4一桂(下図)なら後手の勝ちだったとのこと。

△4一桂は一見▲同銀不成でタダみたいですが、次に△9五歩と指されると先手の勝ち筋が見当たりませんね。これには驚きました。
上で疑問と言っていた△6九飛がここで生かされるのですね。(△5八龍が詰めろなので)
最終盤の難解な局面では、木村八段が▲2五桂(99手目)から相手玉を寄せる手順を発見し、最後見事に寄せきりました。
危うく負けの局面があったなか、木村八段が勝利したことによって、このシリーズ面白くなったように思います。
次局の展開に注目です。
羽生善治王座に豊島将之七段が挑戦する第62期王座戦五番勝負の第1局が4日に行われ、結果は121手までで先手の羽生王座が挑戦者を破り、防衛に向けて好スタートを切りました。
戦型は両者得意の相矢倉になりました。午前中は定跡形を辿りながら次々と手が進み、羽生王座が前例から離れた手を指したのは89手目でした。
午後からは両者考慮時間を入れてじっくりとした進行となり、夕方の下図に示す局面から形勢が傾いたようでした。

上図から豊島七段が指した手は△6六歩。この瞬間これで間に合うのかと疑問に思ってしまいました。
以後羽生王座は▲3一銀と打って攻めきり、最後は受けなしの形に持っていって勝利しました。
△6六歩では代わりに△7八歩(変化1図)の方が良かったと思います。△7八歩は次△7九角以下の詰めろの手です。

変化1図から▲3一銀の攻めに対しては、△1二玉▲9二龍△同香▲2二飛△1三玉▲2一飛成△7九角▲9八玉△9六香▲9七歩△同香成▲同桂△9二飛(変化2図)・・・という流れでどうでしょう?

変化2図からでも後手が勝ちきるのは大変そうですが、本譜よりは期待が持てたと思います。
戦前から豊島七段は期待されていただけに、本局の終盤の戦い方は不本意な感じで、今後の終盤力に不安が残ってしまった印象です。
戦型は両者得意の相矢倉になりました。午前中は定跡形を辿りながら次々と手が進み、羽生王座が前例から離れた手を指したのは89手目でした。
午後からは両者考慮時間を入れてじっくりとした進行となり、夕方の下図に示す局面から形勢が傾いたようでした。

上図から豊島七段が指した手は△6六歩。この瞬間これで間に合うのかと疑問に思ってしまいました。
以後羽生王座は▲3一銀と打って攻めきり、最後は受けなしの形に持っていって勝利しました。
△6六歩では代わりに△7八歩(変化1図)の方が良かったと思います。△7八歩は次△7九角以下の詰めろの手です。

変化1図から▲3一銀の攻めに対しては、△1二玉▲9二龍△同香▲2二飛△1三玉▲2一飛成△7九角▲9八玉△9六香▲9七歩△同香成▲同桂△9二飛(変化2図)・・・という流れでどうでしょう?

変化2図からでも後手が勝ちきるのは大変そうですが、本譜よりは期待が持てたと思います。
戦前から豊島七段は期待されていただけに、本局の終盤の戦い方は不本意な感じで、今後の終盤力に不安が残ってしまった印象です。
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