昨日(8/28)指し終わった第55期王位戦七番勝負の第5局は、先手番の羽生善治王位が123手までで挑戦者の木村一基八段を負かし、対戦成績を3勝1敗1持将棋(引き分け)として4連覇へ王手をかけました。
戦型は第3局と同じ角換わり腰掛け銀でした。
木村八段が先に駒得して優位にもみえましたが、羽生王位もその後駒損を回復して対等となり、終盤は羽生王位が攻めを切らさない戦い方を続けて勝利しました。
下図の局面以降は後手の木村八段に思わしい手がなく、終盤は完敗でした。

上図から本譜は飛車取りをかわした指し手となりましたが、代わりに△5二桂と角取りに打ち、角が逃げればそこで思い切って△9五飛と突っかける戦い方は出来なかったのかと・・・、ちょっと残念に思える将棋内容で見応えがありませんでした。
次局で決まってしまうのか、それとも木村八段が意地を見せてくれるのか、第6局を待ちましょう。
戦型は第3局と同じ角換わり腰掛け銀でした。
木村八段が先に駒得して優位にもみえましたが、羽生王位もその後駒損を回復して対等となり、終盤は羽生王位が攻めを切らさない戦い方を続けて勝利しました。
下図の局面以降は後手の木村八段に思わしい手がなく、終盤は完敗でした。

上図から本譜は飛車取りをかわした指し手となりましたが、代わりに△5二桂と角取りに打ち、角が逃げればそこで思い切って△9五飛と突っかける戦い方は出来なかったのかと・・・、ちょっと残念に思える将棋内容で見応えがありませんでした。
次局で決まってしまうのか、それとも木村八段が意地を見せてくれるのか、第6局を待ちましょう。
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第55期王位戦七番勝負の第4局が先日(8/21)指し終わり、結果後手番の羽生善治王位が134手で挑戦者の木村一基八段に勝って、対戦成績を2勝1敗1持将棋(引き分け)とし、タイトル防衛に向け優位に立ちました。
本局の戦型は第1局、第2局と同じ相矢倉戦となり、先に仕掛けたのは羽生王位で端の9筋からでした。そのあと羽生王位が自らの角道を止める新手を披露し、木村八段が長考となりました。
局面進んで二日目となり、下図の次の手に疑問を持ってしまいました。

本譜で指されたのは▲7七角でしたが、ここは▲9五銀と香車を取った方が良かったように思いました。結果的にこの対局で9五の香車が最後まで利いて、先手玉が詰まされてしまったのが悔やまれそうです。(取れるべき時に取っておく方が良い結果が出やすい)
▲9五銀だと次に△5六歩と指されるのが嫌だったと思われますが、先手が香車を手にすると後々8筋に打つ手もあり、決して悪い方には傾かなかったのではと・・・。
(一例:▲9五銀△5六歩▲4六銀△4五歩▲8四香△8三歩▲4五銀△3七角成▲4四銀△4八馬▲4三銀成△同金▲4六角・・・)
あと一つ疑問だったのが、局後の感想にも述べられていた下図の局面です。

上図から本譜の▲7九金ではさすがに先手が一気に悪くしたのではと思いました。やっぱり▲6六同銀でしょうね。そちらの方が木村八段にとっても粘りが出たと思います。(手順は棋譜コメントを参考にして下さい)
これで一歩リードしたのは羽生王位ですが、挑戦する木村八段もこの先粘り強く指してもらい、本シリーズを面白くしてほしいですね。
次局(第5局)の展開を見守りましょう。
本局の戦型は第1局、第2局と同じ相矢倉戦となり、先に仕掛けたのは羽生王位で端の9筋からでした。そのあと羽生王位が自らの角道を止める新手を披露し、木村八段が長考となりました。
局面進んで二日目となり、下図の次の手に疑問を持ってしまいました。

本譜で指されたのは▲7七角でしたが、ここは▲9五銀と香車を取った方が良かったように思いました。結果的にこの対局で9五の香車が最後まで利いて、先手玉が詰まされてしまったのが悔やまれそうです。(取れるべき時に取っておく方が良い結果が出やすい)
▲9五銀だと次に△5六歩と指されるのが嫌だったと思われますが、先手が香車を手にすると後々8筋に打つ手もあり、決して悪い方には傾かなかったのではと・・・。
(一例:▲9五銀△5六歩▲4六銀△4五歩▲8四香△8三歩▲4五銀△3七角成▲4四銀△4八馬▲4三銀成△同金▲4六角・・・)
あと一つ疑問だったのが、局後の感想にも述べられていた下図の局面です。

上図から本譜の▲7九金ではさすがに先手が一気に悪くしたのではと思いました。やっぱり▲6六同銀でしょうね。そちらの方が木村八段にとっても粘りが出たと思います。(手順は棋譜コメントを参考にして下さい)
これで一歩リードしたのは羽生王位ですが、挑戦する木村八段もこの先粘り強く指してもらい、本シリーズを面白くしてほしいですね。
次局(第5局)の展開を見守りましょう。
先日(8/10)放映されたNHK杯将棋トーナメント戦(▲渡辺明二冠-△佐々木勇気五段)の対局を観戦していて色々な感想を持ちました。
戦型は横歩取りとなり、後手の佐々木五段が中盤旨く指して形勢を有利に進め、終盤早い決着になるのではと思われましたが、さすがにタイトル保持者でもある渡辺二冠がその終盤で相手を追い詰めていき、形勢が二転三転する場面もあって面白い内容の将棋となりました。
最後は渡辺二冠が詰めの手筋を途中で逸し、再逆転の末、佐々木五段が勝利をものにしました。
この対局でまず気になった事として、下図の局面を取り上げました。

本譜で渡辺二冠が指したのは△3六角を警戒しての▲7九玉でしたが、後に8筋からの攻撃を受けることとなり、結果この手は敗因の一つになったかもしれません。
代わりに上図で▲5四桂と王手する手はどうだったでしょうか?
これに対し、△同歩なら▲6四馬と引いて王手成桂取りがかかり先手が指せていたでしょう。
厄介なのは▲5四桂に△4三玉とかわされる手ですが、以下▲6二桂成△3六角▲7九玉△6九金▲8八玉△7二角▲同成桂△2四飛▲6四馬・・・という変化で、これもやや先手良しと思えます。
そしてそして、局面進んで最後の山場となった下図の局面をみてみましょう。

上図は一手前の▲2九香に対して、後手の佐々木五段が3六の銀を2七に不成と怪しい手を指した局面です。(▲同香は△8八金の一発でアウト)
そこで渡辺二冠は▲1三龍から詰めを続けましたが、次の局面で取り逃がしてしまいました。

本譜は▲1五銀と指しましたが、ここは手順は長いですが▲2五歩(変化図)から詰んでいました。

変化図から△3三玉には▲2四角△4三玉▲5五桂△3二玉▲3四香▲4一玉▲3二銀以下、△2三玉も▲1三歩成△3二玉▲3三歩△4三玉▲5五桂△3三玉に▲2四角以下、また△同玉は▲2六香△3六玉▲2八桂△2七玉▲3九桂△3七玉▲4八角以下・・・いずれも後手玉が詰みとなります。(途中他の変化もありますが、いずれも詰みのようです)
▲2五歩の他にはこれも手数は長いですが▲1三角からの詰みもあった模様です。(こちらの方が分かり易いかもしれません)
勝った佐々木五段の印象としては、攻め筋には非凡の才能を発揮するも守りにはちょっと穴がある感じで、タイトル挑戦者となるのにはまだまだ先の感じがします。
終盤30秒将棋で長い詰め手順を見つけるのは大変だと思いますが、それでも負けた渡辺二冠にとってはさぞ悔いが残ったことでしょうね。
先週に引き続き、この対局もなかなか面白い将棋でした。
戦型は横歩取りとなり、後手の佐々木五段が中盤旨く指して形勢を有利に進め、終盤早い決着になるのではと思われましたが、さすがにタイトル保持者でもある渡辺二冠がその終盤で相手を追い詰めていき、形勢が二転三転する場面もあって面白い内容の将棋となりました。
最後は渡辺二冠が詰めの手筋を途中で逸し、再逆転の末、佐々木五段が勝利をものにしました。
この対局でまず気になった事として、下図の局面を取り上げました。

本譜で渡辺二冠が指したのは△3六角を警戒しての▲7九玉でしたが、後に8筋からの攻撃を受けることとなり、結果この手は敗因の一つになったかもしれません。
代わりに上図で▲5四桂と王手する手はどうだったでしょうか?
これに対し、△同歩なら▲6四馬と引いて王手成桂取りがかかり先手が指せていたでしょう。
厄介なのは▲5四桂に△4三玉とかわされる手ですが、以下▲6二桂成△3六角▲7九玉△6九金▲8八玉△7二角▲同成桂△2四飛▲6四馬・・・という変化で、これもやや先手良しと思えます。
そしてそして、局面進んで最後の山場となった下図の局面をみてみましょう。

上図は一手前の▲2九香に対して、後手の佐々木五段が3六の銀を2七に不成と怪しい手を指した局面です。(▲同香は△8八金の一発でアウト)
そこで渡辺二冠は▲1三龍から詰めを続けましたが、次の局面で取り逃がしてしまいました。

本譜は▲1五銀と指しましたが、ここは手順は長いですが▲2五歩(変化図)から詰んでいました。

変化図から△3三玉には▲2四角△4三玉▲5五桂△3二玉▲3四香▲4一玉▲3二銀以下、△2三玉も▲1三歩成△3二玉▲3三歩△4三玉▲5五桂△3三玉に▲2四角以下、また△同玉は▲2六香△3六玉▲2八桂△2七玉▲3九桂△3七玉▲4八角以下・・・いずれも後手玉が詰みとなります。(途中他の変化もありますが、いずれも詰みのようです)
▲2五歩の他にはこれも手数は長いですが▲1三角からの詰みもあった模様です。(こちらの方が分かり易いかもしれません)
勝った佐々木五段の印象としては、攻め筋には非凡の才能を発揮するも守りにはちょっと穴がある感じで、タイトル挑戦者となるのにはまだまだ先の感じがします。
終盤30秒将棋で長い詰め手順を見つけるのは大変だと思いますが、それでも負けた渡辺二冠にとってはさぞ悔いが残ったことでしょうね。
先週に引き続き、この対局もなかなか面白い将棋でした。
昨日(8/6)指し終わりました第55期王位戦七番勝負の第3局は、178手の長手数の末、王位戦七番勝負史上初の持将棋となり引き分けとなりました。
角換わり腰掛け銀の戦型から、後手の木村一基八段が先に馬を作ると、すかさず先手の羽生善治王位が攻め立てて後手が受ける展開となり、形勢が後手から先手に傾きつつも木村八段の粘りが利いて、最後は両者とも入玉を果たし、結局持将棋となりました。
ポイントとなる局面はいろいろあったと思われますが、私が気になったのは下図の次の指し手でした。

本譜で指されたのは△6三歩。「え、これじゃ馬の働きがなくなるぞ」
ということで、ここは△6四歩の方が良かったと思います。△6四歩ならば本譜のように進んでも(当然ながら)85手目の▲5四銀はありませんでした。
(他には攻防の手として△8四角も考えられそうですが、その後の手の繋がりが難しくちょっと無理かもしれません)
上図以降後手は馬を捕られて形勢が次第に悪くなる一方で、後手の勝利は遠くなった気がしました。
上図の頃の形勢は後手の方が良かったと思いますので、木村八段は又しても勝利を掴み損ねた感を持ちました。
ここまで両者1勝1敗(1分け)のタイですので、次の第4局が重要な対局になりそうです。
角換わり腰掛け銀の戦型から、後手の木村一基八段が先に馬を作ると、すかさず先手の羽生善治王位が攻め立てて後手が受ける展開となり、形勢が後手から先手に傾きつつも木村八段の粘りが利いて、最後は両者とも入玉を果たし、結局持将棋となりました。
ポイントとなる局面はいろいろあったと思われますが、私が気になったのは下図の次の指し手でした。

本譜で指されたのは△6三歩。「え、これじゃ馬の働きがなくなるぞ」
ということで、ここは△6四歩の方が良かったと思います。△6四歩ならば本譜のように進んでも(当然ながら)85手目の▲5四銀はありませんでした。
(他には攻防の手として△8四角も考えられそうですが、その後の手の繋がりが難しくちょっと無理かもしれません)
上図以降後手は馬を捕られて形勢が次第に悪くなる一方で、後手の勝利は遠くなった気がしました。
上図の頃の形勢は後手の方が良かったと思いますので、木村八段は又しても勝利を掴み損ねた感を持ちました。
ここまで両者1勝1敗(1分け)のタイですので、次の第4局が重要な対局になりそうです。
昨日(8/3)放映された、NHK杯将棋トーナメント戦(▲香川愛生女流王将-△熊坂学五段)の対局、観ていてとても面白かったのでエントリーしてみました。
先手香川女流王将の三間飛車に後手熊坂五段が居飛車で対抗し、仕掛けた辺りから徐々に先手が優勢となり、終盤は観ていてどうなるのだろうと思っていましたが、最後プロの底力を見せつけられてしまい、(期待していた)香川女流王将の勝ちにはなりませんでした。
しかし、かなり香川女流王将の追い込み方が鋭く、熊坂五段も生きた心地がしなかったのではないかと感じられた一局でした。
下図は後手が△1二角と妙手を放った局面です。

本譜はここで▲4三銀成△6九飛▲3二成銀△同金▲4一角△4八歩・・・と進み、後手が段々と盛り返して逆転となりました。最後までこの1二の角が利いたのが大きかったようです。
上図で▲4三銀成と指さずに、代わりに▲4五銀上(変化1図)と指していたら先手が有望だったと思いますが・・・。

変化1図から△6九飛なら▲8一飛成と桂馬を取り、以下△3三歩に▲2六桂△3四歩▲1四桂(変化2図)と指して先手が勝っていたでしょう。

また、変化1図から△3五金と攻防に打つ手もありますが、そこで▲4三銀成とし、△4五角に▲4四角(変化3図)の王手金取りがありますので、これも先手が良さそうです。

非常に観ていて面白い将棋内容で、投了の場面はとても印象的でしたね。
あと一歩で勝利を掴みかけた香川女流王将、さぞ無念だったでしょうが、伸び盛りの女流棋士でもありますし、この先の成長が楽しみです。
先手香川女流王将の三間飛車に後手熊坂五段が居飛車で対抗し、仕掛けた辺りから徐々に先手が優勢となり、終盤は観ていてどうなるのだろうと思っていましたが、最後プロの底力を見せつけられてしまい、(期待していた)香川女流王将の勝ちにはなりませんでした。
しかし、かなり香川女流王将の追い込み方が鋭く、熊坂五段も生きた心地がしなかったのではないかと感じられた一局でした。
下図は後手が△1二角と妙手を放った局面です。

本譜はここで▲4三銀成△6九飛▲3二成銀△同金▲4一角△4八歩・・・と進み、後手が段々と盛り返して逆転となりました。最後までこの1二の角が利いたのが大きかったようです。
上図で▲4三銀成と指さずに、代わりに▲4五銀上(変化1図)と指していたら先手が有望だったと思いますが・・・。

変化1図から△6九飛なら▲8一飛成と桂馬を取り、以下△3三歩に▲2六桂△3四歩▲1四桂(変化2図)と指して先手が勝っていたでしょう。

また、変化1図から△3五金と攻防に打つ手もありますが、そこで▲4三銀成とし、△4五角に▲4四角(変化3図)の王手金取りがありますので、これも先手が良さそうです。

非常に観ていて面白い将棋内容で、投了の場面はとても印象的でしたね。
あと一歩で勝利を掴みかけた香川女流王将、さぞ無念だったでしょうが、伸び盛りの女流棋士でもありますし、この先の成長が楽しみです。
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