挑戦者・森内俊之名人の2勝1敗で迎えた第26期竜王戦七番勝負の第4局が先日指し終わり、結果後手の森内名人が144手で渡辺明竜王を破り、対戦成績を3勝1敗として竜王奪回に王手をかけました。
戦型は第3局まで続いた急戦矢倉から離れ、本局は本格的な相矢倉戦になりました。
一日目の午前中は定跡化された進行を淡々と辿っていましたが、午後になって森内名人が68手目に△4四馬とあまり前例のない手を指したあたりから両者長考を繰り返し、攻防戦の熱い戦いへと進行しました。
二日目に入って渡辺竜王の攻めに森内名人の受けという両者の特徴ある将棋が展開され、その手のやり取りに魅入っていました。
執拗に迫る渡辺竜王の攻めに対し、森内名人の受けの強さが顕れた局面が随所に観られ、最後まで気の抜けない戦いに感心させられました。
結果は終始堅実な将棋を指していた森内名人が勝利を収めましたが、渡辺竜王にも勝てるチャンスは最後まであったと思います。
その局面を下記に取り上げました。
下図は113手目先手渡辺竜王の▲3四銀に対し、後手の森内名人が玉を5三に逃がした局面です。

本譜はここで▲3三銀不成となって△同銀▲同桂成△6七歩成と進行し、このと金が最後先手玉の寄せに働きました。
局後の感想は113手目で打ち切られていて残念ですが、上図から▲6六金と目先の歩を先に払い、△同銀にここで▲3三銀不成(変化1図)と指していたらどうだったでしょうか。

変化1図から△同銀▲同桂成となって、次▲4二龍がありますから後手は△4一金と受けますが、そこで▲6九香(変化2図)と打っていければ先手も負けない戦いが続いたと思いますが、如何でしょう?

それにしても本格的な矢倉戦を堪能できて、非常に見応えのある将棋でしたね。
次局以降、後がなくなってしまった渡辺竜王の今後の戦い方に戦型を含め注目となりそうです。
(今期の森内名人のぶれない強さが印象的です)
戦型は第3局まで続いた急戦矢倉から離れ、本局は本格的な相矢倉戦になりました。
一日目の午前中は定跡化された進行を淡々と辿っていましたが、午後になって森内名人が68手目に△4四馬とあまり前例のない手を指したあたりから両者長考を繰り返し、攻防戦の熱い戦いへと進行しました。
二日目に入って渡辺竜王の攻めに森内名人の受けという両者の特徴ある将棋が展開され、その手のやり取りに魅入っていました。
執拗に迫る渡辺竜王の攻めに対し、森内名人の受けの強さが顕れた局面が随所に観られ、最後まで気の抜けない戦いに感心させられました。
結果は終始堅実な将棋を指していた森内名人が勝利を収めましたが、渡辺竜王にも勝てるチャンスは最後まであったと思います。
その局面を下記に取り上げました。
下図は113手目先手渡辺竜王の▲3四銀に対し、後手の森内名人が玉を5三に逃がした局面です。

本譜はここで▲3三銀不成となって△同銀▲同桂成△6七歩成と進行し、このと金が最後先手玉の寄せに働きました。
局後の感想は113手目で打ち切られていて残念ですが、上図から▲6六金と目先の歩を先に払い、△同銀にここで▲3三銀不成(変化1図)と指していたらどうだったでしょうか。

変化1図から△同銀▲同桂成となって、次▲4二龍がありますから後手は△4一金と受けますが、そこで▲6九香(変化2図)と打っていければ先手も負けない戦いが続いたと思いますが、如何でしょう?

それにしても本格的な矢倉戦を堪能できて、非常に見応えのある将棋でしたね。
次局以降、後がなくなってしまった渡辺竜王の今後の戦い方に戦型を含め注目となりそうです。
(今期の森内名人のぶれない強さが印象的です)
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森内俊之名人の2連勝で迎えた第26期竜王戦七番勝負の第3局が先日(11/7・8)指し行われ、接戦の結果後手の渡辺明竜王が122手で勝利し、対戦成績を1勝2敗としました。
本局の戦型も前2局同様急戦矢倉となり、お互いの意地がぶつかり合う戦いへと進行しました。
途中後手の渡辺竜王が手を変えて第2局から離れ、森内名人が角交換から香得する展開になりました。それに対し、渡辺竜王は早めに自陣を固めて、50手目の△7五歩から攻撃を仕掛け、このあと激しい攻防戦が繰り広げられました。
渡辺竜王の攻めが幾分細いかなという感じを持ちながら観戦していましたが、森内名人のしぶとい受けにも緩むことなく、最終盤は渡辺竜王が見事な寄せで先手玉を詰ましました。
全体を通して、本局はこれまでと違い双方の特徴が出た熱戦譜だったと思います。渡辺竜王の底力を感じさせる一局でもありました。
先手の森内名人にも勝機は幾つかあったと思いますが、私が一番のポイントとして挙げたいのが下図の局面です。

▲2四歩を△同銀と取った局面ですが、局後の感想戦でも渡辺竜王が述べているとおり、上図の△同銀では自信がなかったとのこと。
しかし、本譜はこのあと▲7七銀△同金▲2三歩△同金▲2五歩に△2七歩と飛車の頭を叩いたのが功を奏し、最後は先手玉を即詰みに討ち取りました。
上図から▲2四同角と指していたらどうだったでしょうか? 棋譜コメントには△2三歩で先手が思わしくないようなことが書かれていますが、はたして・・・。
その△2三歩には▲4二角成と切り(同角と取ったからには)、以下△同金▲7七銀△同金に▲2七香(変化1図)と後手玉の頭を睨む筋は如何でしょう。

変化1図で△2四桂と受けても▲同香△同歩に▲3五桂(変化2図)と詰めろで迫り、先手の攻めが続きそうです。

変化2図から△同歩は▲3四桂△1三玉▲2二銀△2三玉▲4二桂成・・・。また、逆に△7六角と反撃しても▲6七銀△同金▲同龍△同角成▲同玉△3五歩には、やはり▲3四桂の王手金取りです。
いずれも難しい変化ながら先手が勝勢と思われます。
遡って、変化1図で△2四桂に代えて△3二銀と銀を投入すると、今度は後手の攻めが細くなります。先手は歩が豊富にありますから、いくらでも歩の叩きや継ぎ歩が利きそうで、先手有利には変わりないでしょう。
(参考ですが、変化1図から△7六角として▲6七歩△7八金▲2三香成△3一玉▲5三銀△2七歩の詰めろ逃れの詰めろ(▲同飛は△6八飛から詰み)の変化がありますが、これは次に▲3二金で後手玉が詰みます)
以上、検討すればするほど接戦だったことがわかります。
この第3局で渡辺竜王が1勝を返したことにより、これから先の戦いに熱が入りそうですね。好局を期待しましょう。
本局の戦型も前2局同様急戦矢倉となり、お互いの意地がぶつかり合う戦いへと進行しました。
途中後手の渡辺竜王が手を変えて第2局から離れ、森内名人が角交換から香得する展開になりました。それに対し、渡辺竜王は早めに自陣を固めて、50手目の△7五歩から攻撃を仕掛け、このあと激しい攻防戦が繰り広げられました。
渡辺竜王の攻めが幾分細いかなという感じを持ちながら観戦していましたが、森内名人のしぶとい受けにも緩むことなく、最終盤は渡辺竜王が見事な寄せで先手玉を詰ましました。
全体を通して、本局はこれまでと違い双方の特徴が出た熱戦譜だったと思います。渡辺竜王の底力を感じさせる一局でもありました。
先手の森内名人にも勝機は幾つかあったと思いますが、私が一番のポイントとして挙げたいのが下図の局面です。

▲2四歩を△同銀と取った局面ですが、局後の感想戦でも渡辺竜王が述べているとおり、上図の△同銀では自信がなかったとのこと。
しかし、本譜はこのあと▲7七銀△同金▲2三歩△同金▲2五歩に△2七歩と飛車の頭を叩いたのが功を奏し、最後は先手玉を即詰みに討ち取りました。
上図から▲2四同角と指していたらどうだったでしょうか? 棋譜コメントには△2三歩で先手が思わしくないようなことが書かれていますが、はたして・・・。
その△2三歩には▲4二角成と切り(同角と取ったからには)、以下△同金▲7七銀△同金に▲2七香(変化1図)と後手玉の頭を睨む筋は如何でしょう。

変化1図で△2四桂と受けても▲同香△同歩に▲3五桂(変化2図)と詰めろで迫り、先手の攻めが続きそうです。

変化2図から△同歩は▲3四桂△1三玉▲2二銀△2三玉▲4二桂成・・・。また、逆に△7六角と反撃しても▲6七銀△同金▲同龍△同角成▲同玉△3五歩には、やはり▲3四桂の王手金取りです。
いずれも難しい変化ながら先手が勝勢と思われます。
遡って、変化1図で△2四桂に代えて△3二銀と銀を投入すると、今度は後手の攻めが細くなります。先手は歩が豊富にありますから、いくらでも歩の叩きや継ぎ歩が利きそうで、先手有利には変わりないでしょう。
(参考ですが、変化1図から△7六角として▲6七歩△7八金▲2三香成△3一玉▲5三銀△2七歩の詰めろ逃れの詰めろ(▲同飛は△6八飛から詰み)の変化がありますが、これは次に▲3二金で後手玉が詰みます)
以上、検討すればするほど接戦だったことがわかります。
この第3局で渡辺竜王が1勝を返したことにより、これから先の戦いに熱が入りそうですね。好局を期待しましょう。
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