昨日(3/27)放映されました第60回NHK杯将棋トーナメントの決勝戦(▲羽生善治名人-△糸谷哲郎五段)を取り上げます。
戦型は後手番の糸谷五段からの一手損角換わりで、双方が早繰り銀の構えをとり攻撃的な序盤戦で進みました。
途中から糸谷五段が飛車を4筋に振り力戦模様の展開となりました。
その後の展開で一つ気になったことがありましたので、それを掲げます。
下図は先手の羽生名人が▲5三銀と打ち付けたところです。

後手の糸谷五段がどこに飛車を逃がすのだろうかと観ていましたが、本譜は△4五飛でした。以下▲5六金△3五飛に▲2六金と飛車を苛められ、結果先に飛車を渡してしまいました。ここの局面での変化は大きかったと思います。
上図から△4六飛と逃げていたらどうだったでしょう?
△4六飛に対して本譜のように▲5六金なら△3九角(変化図)と打って後手の方が指せてないでしょうか?
また、△4六飛に対して▲5二とと攻め込んできたらそこで△2二玉と早めに逃げる手がありそうです。

(変化図から▲1八飛なら△5六飛▲同歩△6六角成といった具合)
△4五飛よりは△4六飛とかわした方が良かったように思いました。
もう少し縺れる戦いになるのかなと思っていましたが、最後は意外にもあっさりとした感じでしたね。
勝った羽生名人は史上初の三連覇を果たし、通算9回目の優勝となりました。
早指し戦でも無類の強さを発揮するあたり、まだまだ羽生名人に衰えといったものは見受けられません。
戦型は後手番の糸谷五段からの一手損角換わりで、双方が早繰り銀の構えをとり攻撃的な序盤戦で進みました。
途中から糸谷五段が飛車を4筋に振り力戦模様の展開となりました。
その後の展開で一つ気になったことがありましたので、それを掲げます。
下図は先手の羽生名人が▲5三銀と打ち付けたところです。

後手の糸谷五段がどこに飛車を逃がすのだろうかと観ていましたが、本譜は△4五飛でした。以下▲5六金△3五飛に▲2六金と飛車を苛められ、結果先に飛車を渡してしまいました。ここの局面での変化は大きかったと思います。
上図から△4六飛と逃げていたらどうだったでしょう?
△4六飛に対して本譜のように▲5六金なら△3九角(変化図)と打って後手の方が指せてないでしょうか?
また、△4六飛に対して▲5二とと攻め込んできたらそこで△2二玉と早めに逃げる手がありそうです。

(変化図から▲1八飛なら△5六飛▲同歩△6六角成といった具合)
△4五飛よりは△4六飛とかわした方が良かったように思いました。
もう少し縺れる戦いになるのかなと思っていましたが、最後は意外にもあっさりとした感じでしたね。
勝った羽生名人は史上初の三連覇を果たし、通算9回目の優勝となりました。
早指し戦でも無類の強さを発揮するあたり、まだまだ羽生名人に衰えといったものは見受けられません。
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第60期王将戦七番勝負は(私には)意外な展開でした。
第5局で挑戦者豊島将之六段が粘りに粘っての逆転勝ちを収め、第6局ではなぜかその粘りが途絶えて失速し、最後は久保利明王将の貫禄勝ちとなってしまいました。
第6局は大震災後で行われたためか、二人の対局者の心情の変化も見えないところであったのかもしれません。
あまり取り上げる局面が浮かばずエントリー出来ませんでしたが、もし最終局まで縺れていたら俄然食い入るように観ていたと思います。
そして、昨日(3/18)は第36期棋王戦の五番勝負第4局が指し終わりました。
結果は優勢で進めていた渡辺明竜王の大逆転負け。これも意外の意外。本当に将棋は最後の最後まで分かりませんね。勝った久保利明棋王も不思議な感じだったでしょう。
掲載した図面は、92手目に後手の久保棋王が△9五桂と放った局面です。

ここは勝負所でしたが、先手の渡辺竜王の指し手は(おそらく誰も予想していなかった)▲7五歩。この手自体は悪くなかったのですが、その後の展開で先手が躓いてしまいました。
私は上図から簡単に▲8二角を読んでいて、△8四玉に▲9六銀(参考図)で先手勝ちと判断していました。

参考図から△8七桂打がありそうですが、▲同銀と取らずに▲9五銀と指して、△同玉に▲2二龍とトドメの金を奪ってしまえば明確だったと思います。
それにしてもビックリしました。あれだけ優勢だった渡辺竜王が最後の最後で逆転負けになるとは・・・。
これで、勝った久保棋王は王将戦のタイトルと合わせて二つめの防衛を果たしました。
どちらの将棋もギリギリの際どい局面を乗り切っての勝負強さが光った内容ではなかったでしょうか。
このところ、久保棋王・王将の崖っぷちでの勝負強さが際だっているように思えるのも強くなった証拠でしょうね。
第5局で挑戦者豊島将之六段が粘りに粘っての逆転勝ちを収め、第6局ではなぜかその粘りが途絶えて失速し、最後は久保利明王将の貫禄勝ちとなってしまいました。
第6局は大震災後で行われたためか、二人の対局者の心情の変化も見えないところであったのかもしれません。
あまり取り上げる局面が浮かばずエントリー出来ませんでしたが、もし最終局まで縺れていたら俄然食い入るように観ていたと思います。
そして、昨日(3/18)は第36期棋王戦の五番勝負第4局が指し終わりました。
結果は優勢で進めていた渡辺明竜王の大逆転負け。これも意外の意外。本当に将棋は最後の最後まで分かりませんね。勝った久保利明棋王も不思議な感じだったでしょう。
掲載した図面は、92手目に後手の久保棋王が△9五桂と放った局面です。

ここは勝負所でしたが、先手の渡辺竜王の指し手は(おそらく誰も予想していなかった)▲7五歩。この手自体は悪くなかったのですが、その後の展開で先手が躓いてしまいました。
私は上図から簡単に▲8二角を読んでいて、△8四玉に▲9六銀(参考図)で先手勝ちと判断していました。

参考図から△8七桂打がありそうですが、▲同銀と取らずに▲9五銀と指して、△同玉に▲2二龍とトドメの金を奪ってしまえば明確だったと思います。
それにしてもビックリしました。あれだけ優勢だった渡辺竜王が最後の最後で逆転負けになるとは・・・。
これで、勝った久保棋王は王将戦のタイトルと合わせて二つめの防衛を果たしました。
どちらの将棋もギリギリの際どい局面を乗り切っての勝負強さが光った内容ではなかったでしょうか。
このところ、久保棋王・王将の崖っぷちでの勝負強さが際だっているように思えるのも強くなった証拠でしょうね。
昨日(3/6)行われました第36期棋王戦五番勝負の第3局は、これまでの二局と違って長手数の凄まじい戦いで堪能しました。日曜日とあって将棋ファンなら誰しもが楽しまれたことでしょう。
注目の戦型ですが、本局は先手番の久保利明棋王が中飛車を選択し、玉を異形の穴熊に囲みました。これに対し後手の渡辺明竜王は銀冠から途中穴熊に囲い直して先手の攻撃に備えました。
形勢は微差ながら後手の渡辺竜王の方が有利ではないかと見ておりましたが、終盤に近づくにつれ先手の久保棋王が押していたように感じました。
しかしながら、なかなか決め手に繋がるような手がなく、緊迫した状態がずっと続いていきました。
向かえて終盤153手目、先手の久保棋王が▲6六金と後手の角に当てた局面(下図)。

本譜は図から渡辺竜王は△5七金と打ち込みましたが単に▲同飛と取られ、以下△6六角に▲5八飛とと金を外され、続く△5七歩には▲6六角と角を渡すことになり、再度後手はと金を作りましたが、上図から10手先に▲5五角打が決め手となって先手の久保棋王が熱戦をものにしました。
ここらあたり素人には訳のわからない捌き方でしたが、最終盤の久保棋王の華麗な寄せには驚くばかりでした。
戻って▲6六金に対し、一度△5三角と相手のと金の元になる歩を外す手はなかったでしょうかね?
それでも▲5四歩と打ってきたらそこで△3五桂と打ち、以下▲7七飛なら△7六歩▲同飛△7五歩と連打し、▲7八飛に△2七桂不成▲同金に△3五角(変化図)と出てどうでしょう?

変化図から▲5八飛とと金を外す手には△4七銀が利きそうです。
但し、5八のと金は先手玉に遠く、従ってと金の処理はそのままに、変化図から▲8四桂と後手の飛車を苛められる可能性はありそうですね。
この対局を観て、つくづく久保棋王の終盤の強さに魅せられました。近年の好調さが窺えて、これから益々強くなる思いがいたします。
注目の戦型ですが、本局は先手番の久保利明棋王が中飛車を選択し、玉を異形の穴熊に囲みました。これに対し後手の渡辺明竜王は銀冠から途中穴熊に囲い直して先手の攻撃に備えました。
形勢は微差ながら後手の渡辺竜王の方が有利ではないかと見ておりましたが、終盤に近づくにつれ先手の久保棋王が押していたように感じました。
しかしながら、なかなか決め手に繋がるような手がなく、緊迫した状態がずっと続いていきました。
向かえて終盤153手目、先手の久保棋王が▲6六金と後手の角に当てた局面(下図)。

本譜は図から渡辺竜王は△5七金と打ち込みましたが単に▲同飛と取られ、以下△6六角に▲5八飛とと金を外され、続く△5七歩には▲6六角と角を渡すことになり、再度後手はと金を作りましたが、上図から10手先に▲5五角打が決め手となって先手の久保棋王が熱戦をものにしました。
ここらあたり素人には訳のわからない捌き方でしたが、最終盤の久保棋王の華麗な寄せには驚くばかりでした。
戻って▲6六金に対し、一度△5三角と相手のと金の元になる歩を外す手はなかったでしょうかね?
それでも▲5四歩と打ってきたらそこで△3五桂と打ち、以下▲7七飛なら△7六歩▲同飛△7五歩と連打し、▲7八飛に△2七桂不成▲同金に△3五角(変化図)と出てどうでしょう?

変化図から▲5八飛とと金を外す手には△4七銀が利きそうです。
但し、5八のと金は先手玉に遠く、従ってと金の処理はそのままに、変化図から▲8四桂と後手の飛車を苛められる可能性はありそうですね。
この対局を観て、つくづく久保棋王の終盤の強さに魅せられました。近年の好調さが窺えて、これから益々強くなる思いがいたします。
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