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第23期竜王戦七番勝負 渡辺竜王連勝
第23期竜王戦七番勝負の第2局が昨日指し終わり、後手番の渡辺明竜王が相矢倉の熱戦を制し、1局目に続いて連勝となりました。

全体的に非常に熱戦だったと思います。
先手の羽生善治名人も新手や思わぬ手を繰り出して相手玉に迫りましたが、渡辺竜王のその場での対応力が落ち着いていて、勝負所での力強さを感じました。

見所は沢山あったと思いますが、私は終盤のポイントとして下記の局面を取り上げました。

下図は先手の羽生名人が111手目に▲1三金と王手し、後手の渡辺竜王が△3一玉と逃げた局面です。

竜王戦第2局112手目

本譜はこのあと羽生名人がタイミング良く▲7五角と繰り出しましたが、次の渡辺竜王が指した△8四桂が読みの入った手で、▲6四角の王手飛車以降の攻めをかわして勝利しました。

もし、上図で▲7五角に代えて▲2三香成と指していたらどうだったでしょうか?
以下参考手順ですが、△8六歩(この手は△8七歩成~△8九飛成~△8七飛成以下の詰めろ)▲3二成香△同玉▲8六歩△6五桂▲2四角(▲3三歩成以下の詰めろ)△4三玉▲3三歩成△5三玉に▲7四銀(参考図)と挟撃態勢に持って行ければ先手もまだやれたのではないかと勝手に推測します。

竜王戦第2局参考図


本局は、ギリギリの所での勝負強さを発揮した渡辺竜王の上手さを感じさせる一局だったと思えます。本当の強さとはこういう勝負を言うものなのでしょうか?
それにしても竜王戦に強い渡辺竜王。もしかしたらこのシリーズストレート勝ちがあるのでは、と何となく予感さえします。

一将棋ファンとしては、次局以降の羽生名人の巻き返しを期待したいところです。

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第23期竜王戦 七番勝負第1局
いよいよ竜王戦の番勝負も幕が開きました。

今期(第23期)の挑戦者は一昨年挑戦した羽生善治名人です。迎え撃つ渡辺明竜王との一騎打ちにまたまた全将棋界が注目となりそうです。

そして第1局目。

戦型は横歩取りでしたが、序盤から渡辺竜王の▲5八玉に羽生名人が△5二玉とやや珍しい形に進みました。

 (面白くなりそうだ)

38手目の羽生名人が指した△4五角。相手を誘ったいい感じの手だと思いましたが・・・。

渡辺竜王が先に攻めて、それに対応する羽生名人の指し手に驚く局面が幾つかありました。

さて私が気になった点ですが、55手目に渡辺竜王が▲5三香成と成り込み、△2三金の受けに▲1四香(下図)と突っ走った局面です。

竜王戦第1局57手目

二つの香が走った先手の挟撃態勢に後手の羽生名人がどう迎え撃つのかと思っていたのですが、実戦は△1一歩でした。この手は私にはちょっと弱気に見えました。

上図からはコメントにもありましたが、△7六歩が本筋のような気がします。以下▲6五桂に△7七歩成とし、▲同金なら△4四角、▲1三香成の詰めろには△同金▲4三成香△同玉▲2二馬△7八と▲同銀に△6五飛(参考1図)で対抗できるでしょう。

竜王戦第1局参考1図

また、△7六歩にすぐに▲1三香成は△同金▲4三成香△同玉▲2二馬△7七歩成▲3二銀に△4二玉(参考2図)とかわして大丈夫だと思います。

竜王戦第1局参考2図


羽生名人が最後失速してしまったのには驚きました。一体どこに誤算があったのでしょうか?
△4五角の効果が問われそうです。

注目の対局
昨日行われたコンピュータ将棋対女流王将戦、皆さんどのような感想を持たれたでしょうか?

まず、序盤のコンピュータ将棋「あから2010」の作戦には驚かされました。4手目△3三角戦法は一時プロでも指されていましたが、まさかこの対局でコンピュータが指してくるとは。

そして△4四角から激しい攻防が繰り返されましたが、清水市代女流王将が終始守りの将棋になってしまったのがちょっと残念でしたね。

下図は先手の清水女流王将が▲5三桂と両金取りに打って出て金の捕獲をした局面です。

特別対局(清水-COM)42手目

本譜はここで▲6六金と打って相手の角の狙いを防ぎにいきましたが、やはり最後まで△4四角の狙いは厳しかったようです。

図の局面では▲3三角と打って攻め合って欲しかったですね。以下△同角なら▲同桂成△5五角▲2二成桂△2八角成▲2一飛(参考1図)でどうでしょう?

特別対局(清水-COM)参考1図

参考1図から△6五桂には▲6六金で大丈夫でしょう。

あるいは、5三に角を打ってこちらから急所になっている4四の角を外す手もあったでしょう。以下△4五銀に▲4四角成△同歩▲3三角(参考2図)という具合です。

特別対局(清水-COM)参考2図


本局はある意味清水さんらしい将棋だったとも受け止められますが、相手は(人間と比べて)間違いの少ないコンピュータですから、戦い方をもっと工夫しなければいけなかったのではと思いましたね。

NHK杯 (▲佐藤九段-△屋敷九段)戦
久しぶりにブログを更新します。


藤井九段が羽生王座に挑戦した第58期王座戦は、(私の)予想どおり3連勝で羽生王座が防衛しました。あまりにもすんなりだったので記事にすることを拒んでしまいました。


今日取り上げたのは昨日放映された第60回NHK杯将棋トーナメント二回戦、▲佐藤康光九段-△屋敷伸之九段戦です。内容的に面白く印象に残ったのでエントリーしてみました。

戦型は横歩取り系の将棋から見なれない面白い展開になりました。

下図は飛車交換後数手進んで先手(佐藤九段)が敵陣地に攻め入った局面です。

NHK杯(佐藤九段-屋敷九段)39手目

本譜はこのあと後手(屋敷九段)も△2八歩と打って相手陣地を崩しにかかりましたが、佐藤九段が後手の反撃を旨くかわし、最終局面では大差になって勝利しました。

上図で△2八歩の代わりもし△8五桂と跳ねていたらどうだったでしょうか?

△8五桂に対して先手も▲8二歩成として一直線に進めてみますと、以下△9七桂成▲7一と△8八成桂▲6一と△7八成桂▲6二と(参考1図)となってどうでしょう。

NHK杯(佐藤九段-屋敷九段)変化1図

参考1図から先手が攻めやすそうにも見えますが、後手にも後々△6八飛~△3六桂~△1五角といった攻めが続きそうで、先手が不利かもしれませんね。

よって△8五桂には▲8六角とかわしますが、そこで△2八歩と打っていたらどうだったでしょう?

以下▲8二歩成△2九歩成▲7一と△3九と▲同金と本譜のように進めて、そこで△3八歩(参考2図)と叩きます。

NHK杯(佐藤九段-屋敷九段)変化2図

参考2図から▲同金なら△2六桂と打って詰めろを狙います。また、▲4九金とかわしたら△6九飛(この手も詰めろ)と打ち下ろして接戦に持ち込みますかね。


NHK杯は時々素晴らしい感動的な将棋もあります。本局もプロならではの見応えある将棋でした。
本譜の手順も面白かったのですが、私としては△8五桂と跳ねた将棋を観たかったですね。