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第21期竜王戦第4局 渡辺竜王土壇場で逆転
第21期竜王戦七番勝負の第4局が26日・27日行われましたが、この対局を御覧になっていた方は誰もが驚いたことでしょう。

「いや、いや、将棋は最後まで分からないものです」
この言葉、これまで何回使ってきたことでしょう。

第一日目の序盤戦は相掛かりからの出だしとなって、封じ手前では早くも後手番の渡辺明竜王が攻めの姿勢を築いていました。

二日目からの見所として、先手の羽生善治名人が後手の攻めをどういなして反撃に出るのか注目していました。
中盤の両者の攻防戦、私の予想は外れっぱなしでした。特に53手目からの▲7四角△8八歩には思わず「へぇー」と洩らしていました。

俄然面白くなったのはやはり終盤戦でしょう。

下図は103手目に羽生名人が▲5二銀と打ち込んだところです。

竜王戦第4局103手目

ここで本譜は渡辺竜王が△5四玉と5筋に逃げました。この時、いつでも▲6五金があるので、もう後手は駄目かなと諦めていましたが・・・。

結果は、なんとなんと最終盤後手の渡辺竜王が土壇場で逆転勝利をものにしました。
この結果にも驚きですが、羽生名人が優勢あるいは勝勢の場面からよもや逆転されるとはもう信じられませんでした。
一瞬何が起こったんだろうというのが、この対局の第一印象です。

話を戻して、上図の局面から△3三玉と逃げた方が良かったように思いますが如何でしょうか?
△3三玉には▲4四桂が詰めろ逃れの詰めろですが、以下△9五香▲8六玉△7七龍▲9五玉(▲同玉は△6八角以下の詰み)に△4四玉と桂馬を取っ払って、▲4六銀の詰めろには△3三玉(参考図)と引いて後手がやや有利じゃないかと思いました。(少なくとも本譜よりは安全かと)

竜王戦第4局参考図


渡辺竜王が最後まで諦めずに何とか勝利を掴んだのは流石だと感じました。
勝利を諦めない姿に、第19期竜王戦の対佐藤康光戦での番勝負で魅せた、窮地に追い込まれてからの逆転劇が思い起こされます。

さて、次の対局では渡辺竜王が先手番となりますから、ここで腰を据えてじっくり指せれば(連勝の)期待が持てそうな気がします。

さらなる両者の激闘を待ち望みましょう。

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第16期倉敷藤花戦 里見女流が念願の初タイトル獲得
第16期大山名人杯倉敷藤花戦の第2局が昨日倉敷市にて行われ、先手番の里見香奈女流二段が133手で清水市代倉敷藤花に勝ち 、2連勝で念願の初タイトルを獲得しました。

戦型は先手の里見女流二段が得意の中飛車に振り、お互い角筋が通ると先手から角交換して▲6六銀と繰り出しました。
後手清水倉敷藤花はその▲6六銀をみて直ぐに8筋の歩を切り、先に8九に角を打って攻めに出ました。
このあたりからどう駒を捌いていくのか注目でしたが、里見女流二段が左辺の桂馬を上手く使い、大駒の活用を図って後手陣に攻め入っていきました。

中盤辺りからはもう里見女流二段が優位に立ち、後手の清水倉敷藤花は防戦の一方粘りながらの将棋を目指しましたが、形勢逆転とはならず、里見女流二段が押し切りました。

終わってみれば、第1局、第2局とも里見女流二段の圧勝だったように思います。
戦前はもう少し縺れるのかなと予想していましたが、意外に清水さんの指し手に力強さが感じられなく、若い里見女流にタイトルを明け渡すことになりました。

里見さんは現在島根県出雲市に住む高校2年生で、まだ16歳。これから益々期待の掛かる女流棋士の一人です。
性格的に負けず嫌いで努力家ですから、これから先も楽しみな女流棋士になるでしょう。

なお、女流棋士の初タイトル獲得として、里見さんは歴代3位の若さです。
因みに1位は元女流棋士の林葉直子さんで14歳3ヶ月(女流王将)、2位は中井広恵女流六段の16歳6ヶ月(女流名人)で、里見さんは16歳8ヶ月での獲得でした。

第21期竜王戦 羽生名人が永世竜王に王手
第21期竜王戦七番勝負の第3局が13日・14日に行われました。

ここまで2連勝と幸先良いスタートを切った羽生善治名人が勝てば永世竜王に王手をかけることになり、対して2連敗と出だしつまずいた渡辺明竜王が勝利すればここからの巻き返しに期待の掛かる一番でした。

戦型は後手(羽生名人)の一手損角換わりとなり、先手の渡辺竜王が早繰り銀から仕掛けていくことになりました。
一日目から激しい戦いが繰り広げられ、封じ手の局面ではもう終盤戦かと思えるような雰囲気でした。

下図は、封じ手の局面から△2九飛成▲3九歩に△5四歩と先手の嫌な歩を払ったところです。

竜王戦第3局48手目

本譜はここから▲5三角と打ち込んで攻め合いを目指しましたが、後手玉を詰ますまでには至らず、先手側は壁銀の形が響いて逆に詰まされてしまいました。
渡辺竜王のコメントにもあるように先手側が苦しい状況だったようです。

上図で▲5三角の代わりに▲5三歩と指していたらどうだったでしょう?

まず△5六桂と王手するのは、▲7七玉とかわされ△1九龍に▲5二銀△同金▲7一角があります。
従って、△6二銀(△4二銀なら▲5二銀~▲7一銀)と守ります。
以下手順を進めていきますと、▲2一銀△4二金(△3一金▲3二銀打もある)▲3一銀(詰めろ)△5三銀▲4二銀成△同銀▲3二銀成△4一銀▲同成銀△同玉▲6三角△5二銀▲5四角成(参考図)となります。

竜王戦第3局参考図

参考図から△3七歩には▲同金△3九龍に▲2一銀と打っていってどうでしょう?
形勢はまだ後手が有利かもしれませんが、本譜よりは先手も希望が持てる戦いが出来るように思います。

何と言っても先手は8八の壁銀が痛かったと思います。どこかで解消できていれば救われていたかもしれません。


この対局結果、羽生名人が早くも永世竜王に王手をかけることになりました。
シリーズが始まって、ここまでの対戦成績を予想された方はいるのでしょうか?

崖っぷちに立たされた渡辺竜王が次の対局でどんな将棋を指すのか、私なりに興味はあります。
将棋の内容が良くない渡辺竜王ですが、このままストレートで終わって欲しくはないなと思います。

第19期女流王位戦 石橋女流王位初防衛
第19期女流王位戦五番勝負の第5局が昨日行われました。
互いに2勝2敗のタイで向かえたこの最終局、果たしてどちらが勝利するのか大変興味がありました。

本シリーズは師弟関係を飛び越えた域での激しい戦いが繰り広げられてきています。本局も序盤からケンカ将棋のような雰囲気が感じられました。

改めて行われた振り駒の結果、石橋幸緒女流王位が先手となり▲7六歩~▲6六歩~▲5六歩の出だし。
これに対して後手番の清水市代女流二冠は銀を繰り出してから三度の右四間飛車に。そして早くも14手目に△6五歩と仕掛けていきました。

その後角交換後、先手が先に角を打ったのが下図の局面です。

女流王位戦第5局23手目

本譜はここで後手が△6七歩と打ちました。これに対して先手は金を寄らずに▲7九銀。
この2手は私もビックリしました。というか、予想していなかった手ですから。
△6七歩に▲7八金なら6八に銀を打たれたあと崩されて、8八に角を打たれる筋がありそうですね。

上図からは第一勘△7九角が考えられますが、どうだったんでしょうか?
△7九角には▲6六銀と打たれますが、以下△6七銀▲7七金△6六飛▲同銀△6八銀打▲4八玉△7七銀不成▲同銀に、△9二金(参考図)と打ち込んで角を捕獲します。

女流王位戦第5局参考図

参考図からさらに進めますと、▲6二歩△同玉▲9一角成△同金▲6六飛には△6三歩で後手側大丈夫かと。角も二枚使えて戦えてないでしょうか?

本局は短手数で終わりになるのかなと思いましたが、両者のいろいろな攻防があって、結局123手で先手の石橋女流王位が勝利しました。
全体的に駒の動きが少ない将棋だったのですが、それはそれなりに考えさせられる局面が多く、両対局者の激しい戦いが見られた対局だったように感じました。


3期続けての清水-石橋戦による女流王位のタイトル戦でしたが、二人ともかなり力が接近していて熱戦の将棋が見られ、堪能できたように思われます。

石橋女流王位、初防衛おめでとう御座います。
この先も熱き戦いを見せて下さい。

第16期倉敷藤花戦 里見女流二段が先勝
第16期大山名人杯倉敷藤花戦が先日(11/6)行われました。
このタイトル戦は三番勝負で、先に2勝した方がタイトルを手にすることになります。

清水市代倉敷藤花に挑戦者するのは、御存知十代の実力者里見香奈女流二段です。
女流棋士になってから益々力を付けてきた里見女流二段ですが、対清水戦にはまだ1勝もしていませんでした。昨年もこの倉敷藤花戦の本戦決勝で敗れています。

第1局目、先手は清水倉敷藤花に決まり対局が開始されました。
後手番の里見女流二段が6手目に早くも△5二飛と振って得意の中飛車戦法に、対する清水倉敷藤花は居飛車で迎え撃つことになりました。

中盤辺りではかなり先手の清水倉敷藤花が押していたようですが、終盤にかけて後手の里見女流二段が粘りを見せ、形勢が逆転しました。

下図は92手目に後手が4八に飛車を成った後、先手が指した▲6五歩の局面です。

倉敷藤花戦第1局93手目

本譜はこの後△5三歩と打たれて龍を引き、さらに龍同士の交換後、6六の空いた地点に奪われた香車を打たれて先手が苦しくなっていきました。

▲6五歩に代わって何か他の手はなかったでしょうかね。
例えば、5六に角を打ったりするのは駄目でしょうか?


この対局結果、後手の里見女流二段が162手の長い戦いを制し先勝しました。
途中まで苦しいながらも最後は圧倒していましたね。
念願の対清水戦初勝利で嬉しかったことでしょう。

最近、清水さんの指す将棋の内容があまり良くないですよね。女流王位戦でも逆転負けがありました。
この将棋も上手く指していたのに、何故か有利な形勢を保つことが出来ませんでした。
調子自体はどうなんでしょう?

第2局からは対局場所が倉敷市に変わります。
それまでに二人の調子がどう変わっているのか分かりませんが、引き続き熱戦を期待したいと思います。

第21期竜王戦七番勝負 第2局
10月の末日に掛けて行われた第21期竜王戦七番勝負の第2局、場所を1局目のパリから北海道に移しての対局となりました。

戦型は相矢倉戦になり、渡辺明竜王が後手ながら積極的に端から攻撃を加えていったのに対し、先手の羽生善治名人はそれをかわしながらと金攻めを見せて形勢を有利に進めていきました。

しかし、渡辺竜王も手を作りながら先手玉に迫っていき、形勢が分からなくなる局面もありました。

下図は終盤112手目に後手が△8九金と桂馬を手にしながら攻め入ったのに対し、先手が▲8七玉とかわした局面です。
形勢的には後手の方がいいのかなと思っていましたが・・・。

竜王戦第2局113手目

本譜はここで△8八金と貴重な駒を只捨てにして△6七歩成から香を成って先手玉に迫りましたが、あとが続かず131手で先手の羽生名人が勝ちになりました。

図から△3三金寄が考えられますが、その手に対しては渡辺竜王は感想戦で▲6四桂と跳ねられてダメと言っています。
▲6四桂に△同角と取って▲6二飛成に△2六桂と打つ手もありますが、▲3九飛とかわされるとあとが続かないようです。
また、先に△2六桂と打っても同じように進んでダメですね。

と言うことで、図からは他に適当な手が見当たりません。
金を只捨てにしなければいけないようでは、すでに形勢が決まっていたことになります。
「うーん、将棋は難しい」


この対局結果、竜王戦開幕してから早くも羽生名人の2連勝となり、永世竜王に先に一歩近づいたことになります。

2連敗と出だしの悪いスタートとなりましたが、渡辺竜王の巻き返しを期待したいと思います。