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第19期女流王位戦五番勝負 第4局
第19期女流王位戦五番勝負第4局が昨日行われました。

ここまで2勝1敗の石橋幸緒女流王位が初防衛するのか、あるいは挑戦者の清水市代女流二冠が待ったを掛けるのか、注目の対局でした。

後手番の石橋女流王位が序盤に角交換してから飛車を振って早速と穴熊に囲ったのに対し、先手の清水女流二冠は銀冠に構えて相手の出方を窺いました。

50手過ぎたあたりから先手の清水女流二冠が優勢に駒を進めて一時勝勢ムードでしたが・・・。
形勢不利な石橋女流王位が果敢に攻め繋いでいき、終盤は逆転の場面もあったようです。

下図は最終盤、後手が△5七香成と玉頭に攻め出て、▲同銀に△5六歩と打った局面です。

女流王位戦第4局144手目

本譜は、ここから▲8一金△同金▲同龍△同玉▲7三桂△同金▲7一金!△同玉▲5一飛までの鮮やかな即詰みが決まって、清水女流二冠が勝利しました。
上図の局面に至るまでは形勢が五分五分くらいになっていたところ、突然の終局となったのです。
終盤時間に追われながらの最後の詰みは見事だと思います。

図では△5六歩の代わり△7五角と打っていたら、まだ紛れていたかもしれません。


全体としては少々決め手に欠けた将棋内容だったと思われますが、見ている方としては最後まで勝敗が分からない面白い対局だったと感じました。

これでタイトルの行方が分からなくなりました。
2連勝で幸先良いスタートを切った石橋女流王位が有利と見ていましたが、清水女流二冠がその後の対局を連勝して巻き返したことにより、(気持ち的には)勢いも逆転した感じがします。
石橋さんの気持ちの切替が大事でしょうね。

最終局どうなるのか、今から待ち遠しいです。

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第19期女流王位戦五番勝負 第3局
第19期女流王位戦五番勝負第3局が昨日行われました。

ここまで2連勝の石橋幸緒女流王位が勝てば初防衛となる一戦、結果は清水市代女流二冠の逆転勝ちでした。それも終盤の終盤、石橋女流王位の攻勢をなんとか凌いで逃げ切りました。

いやー、将棋とは分からないものですね。

下図は終盤戦116手目に後手の清水女流二冠が3八に飛車を成ったところ。

女流王位戦第3局116手目

ここで、先手の石橋女流王位はなんと▲7二銀の只捨ての技を掛けました。以下は△同飛に▲5四桂△4三銀▲4二銀打△6四玉▲5三金と追っていきましたが、最後になって後手玉を詰ますまでにはいきませんでした。

図から先に▲5四桂としても△6八龍と詰めろを掛けられ、▲4四銀成△6三玉▲5三金では掴まりません。

▲7二銀の代わり▲7一銀ならどうでしょう?
同じく△6八龍が詰めろですが、▲8二銀不成△8九金▲8八金打△同金▲同金に△8七歩や△7七金は▲4二銀打で先手が勝てそうです。
しかし、▲7一銀に△5二飛とかわされたらちょっと大変かも。

となると、図の局面では先手が苦しいのかもしれません。それ以前に先手の勝ち筋が別にあったかもしれないです。

この対局、ほとんど先手の石橋女流王位の勝勢とも言っていいくらいの内容だったと思いましたが、先にも述べましたように、将棋とは本当に最後まで分からないものですね。
前局に続いての逆転劇となりました。

石橋女流王位にとってみれば、そこまで見えていたタイトル初防衛のチャンスが消えてしまい、さぞ悔しかったと思います。

清水女流二冠はなんとか1勝を掲げ、タイトル奪還の夢を繋ぎました。

次の第4局は1週間後の徳島で行われます。
結果が楽しみですね。

第21期竜王戦七番勝負 第1局
18・19日に行われた注目の第21期竜王戦七番勝負第1局は、遠くフランスはパリでの対局でした。

振り駒の結果、先手は渡辺明竜王に決まり、初手は▲7六歩。対する後手の羽生善治名人は△3四歩。以下後手の一手損角換わりとなり、双方の駒組みが進行していきました。

一日目の封じ手までの進行は、渡辺竜王が棒銀戦法を見せながら玉を穴熊にして堅さを重視する形に、羽生名人は飛車を引いて右玉の構えに。

さて二日目、いよいよ戦いが始まり、どちらが優位に立てるのか注目して見ていましたが・・・。

先に攻めたのは先手の渡辺竜王でしたが、後手の羽生名人もタイミングを見ながら攻め合いに出ました。

64手目羽生名人が指した△6四角の意表を突く受けに、先手の渡辺竜王が固まってしまいました。
どうやらこの手に渡辺竜王はどう対応していいのか困った様子。

以下一手一手に凄い熟慮が籠もった展開となり、終盤へ突入して行きました。

下図は、80手目に△7七歩成を▲同桂と取った局面です。

竜王戦第1局81手目

ここからの羽生名人の手には正直驚きました。
図からなんと△8六角。この手は△7七角成以下の詰めろになっているんですね。
先手は▲7三歩成△同馬▲6五桂と詰めろ逃れに出ますが、ここでまたまた△6七銀という考えもしなかった手が出ます。普通なら△7七銀か△7七歩を考えそうなところですが。
この△6七銀が決まって、後手の羽生名人が幸先良い勝利をものにしました。

上図で△7七歩成を▲同銀や▲同金と取ってもやはり後手がいいようです。
また、▲7三歩成として△同馬に▲7七銀も、やはり△6七銀がいい手で後手の優位は変わりません。

対戦前はもっと捻り合いの将棋になるのかなと思いましたが、あの△6四角以降は後手側が有利に進んだ対局となりました。

羽生名人の勝負にかける勘の良さが出た一局だったと思います。

第19期女流王位戦第2局他
10月16日に対局があった女流棋戦を取り上げます。

まずは第19期女流王位戦の第2局、後手番の石橋幸緒女流王位が最近プロ間で流行している「4手目3三角」戦法をとり、序盤から興味ある展開が繰り広げられました。
これに対し、先手の清水市代女流二冠が中盤辺り上手く対応していたように見えました。

しかし、私がいつも気にしている清水女流二冠に悪い流れ(と思える)指し手が・・・。

68手目の△3一歩に対し▲2九龍と守りを固める龍引き。この手事態は悪くないと思いますが、以降の指し手に疑問が出てきます。私なら1一の香車を取ってこれを守りに使い(▲1一龍に△7六銀なら▲6九香とか)、▲4三銀成を楽しみにしたい感じです。

そして、私が一番気になったのが下図の局面。

女流王位戦第2局124手目

ここで▲2六飛成としちゃったんですね。すかさず△4四馬とされて後手の方が指しやすくなったと思います。
図から▲1二飛成と香車を取る手はなかったでしょうか?
△2二歩が気にはなりますが、それには▲4五金で馬を跳ね返せます。
もし、▲1二飛成に△4四馬なら▲4五銀打でいいでしょう。

どうして清水さんは自陣に大駒を引き付けるような手を多く指すのでしょうか?
前にも述べましたが、こういう将棋は大体清水さんの流れにはなっていきません。

この対局結果は大逆転で石橋女流王位が勝ち、2連勝で初防衛に王手を掛けました。
石橋女流王位の粘りの素晴らしさもありましたが、それよりも清水女流二冠の指し手の流れが気になります。


一方、同じ日に対局があったマイナビ女子オープンは、先手の里見香奈女流二段が後手の熊倉紫野女流1級に逆転勝ちを収めました。
若手同士の相振り飛車の戦いでその展開が注目されていたと思いますが、この対局も形勢が終盤に大逆転となる将棋でした。

中盤辺りからずっと後手の熊倉女流1級の方が形勢は良かったと思いましたが、終盤に例のイナズマが炸裂して里見女流二段が勝利。

90手目に指された△2六飛という鬼手にはビックリしましたが、決め手にはならなかったのですかね?
代わりに、△5八銀不成としていたらどうだったでしょうか?

これからもこの二人はいろいろな棋戦でぶつかるでしょうけど、若手らしい思いっきりのいい将棋を指して貰いたいと思います。

第19期女流王位戦五番勝負 第1局
いよいよ女流のタイトル戦も始まりました。
昨日行われたのは第19期女流王位戦の五番勝負第1局目です。

先手番になった石橋幸緒女流王位の戦法に興味があったのですが、本局は居飛車での戦いを選びました。
対して後手番の清水市代女流二冠は序盤から飛車を6筋に振って積極的な攻めを見せましたが、石橋女流王位の力強い受けに攻めが続かなくなり、逆に反撃を食らってしまいました。

下図は43手目に先手が▲2四銀と打ってきたところ。

女流王位戦第1局43手目

これに対して後手はどういう受けをするのかと思っていましたら、△3二玉と強気に出ました。
この局面どうだったんでしょうか?

図から△2四同歩と普通に対応していたら・・・?
▲同歩に△1六歩と指します。以下▲2三歩成△1五角▲1六飛として△4一玉(参考図)と寄り、6一の金の働き(守り)に近づけて戦えなかったでしょうか?

女流王位戦第1局参考図

参考図から先手は▲2二歩と打って攻めてくるでしょうが、後手も△6六歩と突いて攻め合います。
これでも後手が良くならないようでしたら、▲2四銀のところですでに形勢が先手に傾いていたと思われます。

中盤あたりで清水女流二冠も粘りましたが、終盤は先手の石橋女流王位の鮮やかな攻めが出て快勝しました。
本局は、清水女流二冠にとってみれば不出来な将棋となったようです。

感想でも清水女流二冠が述べているとおり、34手目の△1五歩が指しすぎだったかもしれません。
代わりに、△5二金上や△5五銀~△5二金上で良かったと思います。

清水さんが大駒を敵陣から自陣へ引き寄せた将棋は、大抵負けになることが多いです。

第56期王座戦 羽生王座がストレートで防衛
昨日行われた第56期王座戦五番勝負の第3局は羽生王座が勝利し、今期も3連勝のストレートで防衛となりました。
なんと、これで17連覇というもの凄い記録でもあります。

この第3局は170手を越す熱戦で、その中には細かく見れば形勢がいくつも変わっていたようですが、全体的には先手の羽生善治王座が後手の木村一基八段を押していたように思えます。

相矢倉戦から先手の羽生王座が穴熊に構え、後手の木村八段がどう対処するのだろうかと見守っていましたが、結局先手玉は最後まで穴熊から出ることはありませんでした。
やはり、穴熊の攻略というのは難しいのでしょうか?

王座戦第3局119手目

上図は118手目に後手が△9五桂と打ってきたのに対し、先手が▲8八銀打とがっちり固めた局面です。大駒二枚も穴熊の囲いに参加していて、こうなるともはや穴熊陣を崩すのは至難の業です。

上図となる前に何か手はなかったのでしょうか?
例えば△9五桂と打つ前に、△8六歩と突くのはどうでしょう。
▲同歩ならそこで△9五桂ですので、普通は▲8六銀でしょう。そうしておいてから△6九金と打って崩しに掛かりたいものですが・・・。
これに対して先手はいちいち飛車を逃げてる場合ではないので、▲6六馬とか▲8一角成としそうですね。それに飛車・金交換ぐらいなら先手にあまりダメージはないかもしれませんね。

この対局はいろいろな局面で思わぬ手が出て、「あれっ?」と思うことも何度かあり、その度に展開の予想が変わってきて面白い将棋でもありました。
手の長い将棋ではありましたが、もう少し挑戦者の木村八段に鋭いところを見せて欲しいという思いもありました。


この王座戦の番勝負、3局を通じてやはり羽生王座の強さは不動のものだなと強く感じました。

来期は誰が挑戦者になるのか分かりませんけど、せめてフルセットまで縺れるような激戦となる王座戦を期待したいものです。