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棋王戦五番勝負 最終局に佐藤棋王が勝って防衛
今年度の最後を締めくくるタイトル戦、棋王戦第5局が昨日東京将棋会館で行われました。
第5局は改めて振り駒で先後を決めるのですが、その結果は先手が佐藤康光棋王に、後手が羽生善治二冠ということになりました。

最終局で選ばれた戦型は相矢倉に。(私は佐藤棋王が後手番なら角換わりを予想していましたが)
序盤坦々と進んで、45手目に先手佐藤棋王が▲9八香から最近定番となっている穴熊に組み替えました。
羽生二冠も48手目△3三桂と跳ねて、先手に穴熊を組ませた形での思い切った作戦にでました。

中盤いろいろと難しい局面が現れましたが、佐藤棋王の力強い指し手で後手玉を追い込んでいきました。

さて、下図に掲載したのは終盤83手目▲6五香に△同桂▲同歩とした局面です。
棋王戦第5局85手目

本譜はここからなんと△9七角成と決行。果たしてこれで攻めが続くのか・・・?
続けて▲同香△9三香打▲7三角と先手は挟撃態勢に。△9六歩と突っ込むも、以下▲8二角成△9七歩成▲同桂△同香不成▲同銀△同香成▲9一飛の王手成香取りで先手が優勢になりました。

図から△2四銀と馬を苛めることは考えられますが、以下▲同馬△同金▲6四歩△1四金に▲4四桂(参考図)と打たれて、次に▲7三角や▲2一銀又は▲5二銀があり後手が困りそうです。
棋王戦第5局参考図


本局は穴熊の利点を活かしきった佐藤棋王の勝ちとなり、3勝2敗で棋王位を防衛されました。
1勝2敗の角番から追い上げての防衛は見事ですね。連勝した第4局・第5局とも内容も素晴らしかったと思います。

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大和証券杯女流最強戦 決勝
第1回大和証券杯ネット将棋・女流最強戦の決勝戦が昨日ありました。
後手番の甲斐智美女流二段が中飛車に振ると、先手の矢内理絵子女流名人が角換わりから佐藤新手(▲9六歩)を採用して戦いが進みました。

50手目に甲斐女流二段が△8五桂と跳ねて意表を突き、それから数手進んだのが下図の局面です。女流最強戦(決勝)56手目

本譜はここで▲9五歩と指しましたが次の△7六歩が痛く、以下▲8五桂△同歩▲同銀△8四歩▲9六銀と押されて先手が苦しくなりました。

▲9五歩では▲7五歩と7五の歩を取り、△7六歩なら▲8五桂打△6二玉▲7六玉とした方が良かったのではないでしょうか? 以下進めますと、△8五歩▲同銀△5三角には▲5七角(参考図)と対抗してどうでしょう。
女流最強戦(決勝)参考図


この対局の結果は、後手の甲斐女流二段が中終盤上手い指し回しで、先手の矢内女流名人に快勝しました。振り飛車好きの人には参考にできる一局だったと思います。

このところ調子のいい甲斐智美女流二段は、今期勝率も7割5分の好成績で、これから益々期待される女流棋士の一人です。
まもなく始まるマイナビ女子オープンの決勝五番勝負が楽しみになりました。

棋王戦五番勝負 2勝2敗のタイに
昨日、棋王戦五番勝負の第4局が東京将棋会館で行われました。
戦型はまたもや後手ゴキゲン中飛車に、対する先手の対応策がどう出るかということに。

先手が佐藤康光棋王、後手が羽生善治二冠です。

序盤、佐藤棋王はこれまであまり見かけない作戦に出ました。
棋王戦第4局21手目

上図の▲3六銀が面白い出方。普通は▲7七銀として角交換を避ける形にしてから▲3六銀なのですが・・・。
後手は当然の如く△5六歩と突きます。以下、▲6六歩△5七歩成▲同金△6四歩▲4五銀・・・。

この後、あの3六の銀が8筋方面に繰り出され、後手の玉頭に迫っていきます。なかなか大胆な構想ですね。この辺りは佐藤棋王の作戦勝ちでしょう。

61手目▲9五歩から開戦となって、先手はどんどん前へ進みます。
後手の方は押されっぱなしで、なかなかチャンスらしい局面が現れません。

下図は最終盤、先手が▲7一飛と決めに行ったところ。後手に飛車を渡せば△9九飛でそれまでなので、ここで詰みを確信できなければ先手の負け。
棋王戦第4局113手目

▲7一飛に△8一桂と合駒するのは▲6四銀と出られて、上下の飛車の効きが大きい為それまで。
また△8一銀の合駒には▲8二銀と打込、以下△同玉▲7三飛成△9一玉▲9三香成で適当な受けはありません。(△8二銀や△7二金と頑張ってもバラして▲7四桂以下の詰み)

本譜は△8一金でしたが、やはり▲8二銀~▲7三飛成で後手玉は捕まりました。

これで2勝2敗のタイに縺れ込み、最終局がいよいよ決戦になります。
終局後の佐藤棋王はとても疲れた様子で、角番で指していた苦悩がよく表れているようでした。

棋王戦五番勝負 第3局のポイント
先週土曜日(3/8)に行われた棋王戦第3局のポイントを見てみましょう。
戦型は後手佐藤康光棋王のゴキゲン中飛車に、対する先手羽生善治二冠は▲5八金右からの超急戦になりました。こうなれば、二人の対策がどんなふうに表れるかが見物です。多分殆どの観戦者が注目したことでしょう。

そして出ました、25手目の▲9六角。
棋王戦第3局25手目

この局面以降の変化手順は、先に終了した王将戦の第2局で、私なりに詳しく述べていますので参考にして下さい。
佐藤棋王は△5三玉とかわして、次の▲6六香に△7四桂と打ちました。
この後▲2二歩△6六桂と進んで、未知の展開に進んでいきました。

先手がやや優勢ながら、後手にも反撃のチャンスがあったのではと言われているのが次の局面です。
棋王戦第3局43手目

本譜は△6七香と打ちましたが、代わりに△6八歩ならどうだったかと言われています。
△6八歩は△6九歩成以下の詰めろですが、▲6一銀成△同銀▲6八玉の後、後手側に上手い手があるでしょうか?
△8八飛なら▲7八金打△8九飛成に▲5三桂不成(詰めろ)で後手が苦しそうです。
なので、△4九銀と指したらどうでしょう。
▲5七金や▲5七金打では△8八飛で後手が良さそうです。
よって▲7七金とします。これに△3九馬ではやはり▲5三桂不成が詰めろで後手不安になりそうです。△8四馬と引くのも▲6三角成△8八飛▲7九玉で先手がいいでしょう。

この対局結果は先手羽生二冠の勝ちとなり、棋王奪還へ王手を掛けました。

王将戦七番勝負 第5局のポイント
2月27・28日に行われた王将戦第5局は、このシリーズ一番の大熱戦となりました。
戦型は先手番久保利明八段が四間飛車に構え、対して羽生善治王将は後手ながら急戦策をとって進みました。
結果的には、挑戦者の久保八段が最終盤玉の逃げ場所を間違えて頓死となり、このシリーズの幕が閉じられました。
しかしながら、この第5局は数々の見せ場があり、見ていた人達はさぞ興奮したことでしょう。

私が見ていて感心した局面のポイントを取り上げてみます。

まず、驚いたのは下図に示す局面です。
王将戦第5局54手目

この局面の前に先手が▲8五歩と飛車先を突き、以下△7四飛▲8三角△7六歩▲7四角成に後手が△7七歩成と決行しました。
一見すると、先手は馬を作れて手持ちに飛車があり先手充分のように思えます。
しかし、後手もと金の威力と守りのバランスが取れていて、後に2四や4四に桂馬を打ち込むことが出来れば先手にとっても驚異です。
図から▲6一飛と打ち込んでもまたは▲6六銀とかわしても、それ以降検討すると先手がいいようにはなりません。(説明が長くなるので省きます)
本譜は▲6九飛△6八歩▲7九飛△6七と▲同金△2四桂▲4七銀△7八銀▲同飛△6九角と進行し、後手の方に形勢が傾きました。

久保八段も途中から盛り返して激戦となり、形勢はやや後手ペースながら勝敗の行方が分からなくなりました。
王将戦第5局94手目

上図は数手前先手が3三に銀を打ち込んで崩しに掛かった局面です。この辺は見ていて手に汗握る戦いで、面白いところでもありました。先手がペースを掴んだかもしれないところです。
本譜はここから▲4五桂△4二玉▲3三角△5二玉▲5九玉と進みました。

図から仮に▲5一角と打ち込んで攻めていたらどうだったでしょう?
以下、△2二玉(△4二合駒は詰み)▲3三銀△1二玉▲1三歩△同玉▲2五桂△1四玉▲1五歩△同玉▲2六金△1四玉▲2四銀成(▲1五歩は打ち歩詰め)△同歩▲1五歩△2三玉▲3三角成△1二玉と迫り、ここから▲5九玉と飛車を払うと詰めろが掛かります。(参考図)

王将戦第5局参考図

参考図は先手必勝のようですが、なんとこの後△7九飛以下先手玉が詰んでしまうんです。
参考手順を掲げますと、△7九飛▲6八玉(これ以外は詰み)△7六桂▲6七玉(これ以外も詰み)△6九飛成▲7七玉△8八銀▲8七玉△8六歩▲9六玉△9四香▲9五桂△同香▲同玉△9四歩▲8四玉△9三銀▲8三玉△7一桂▲7三玉△4六角成以下、先手玉は詰みとなります。
他の手順でも詰みがあると思います。

従って、本譜の▲4五桂以下の手順が正解で、最後頓死がなければ先手が勝っていたかもしれません。(99手目の棋譜コメントが意味することと比べてみて下さい)

本当に久保八段にとっては残念な結果で、またも羽生さんからタイトルを奪うことは出来ませんでした。
まあ、この経験を活かしてこれからも挑戦し続けて欲しいと思います。

私としては、振り飛車党のタイトル保持者がいないのが残念です。