王将戦七番勝負の第2局が1月24・25日の二日間行われました。
その対局からポイントを拾い上げてみます。
戦型は大方の予想通り後手久保八段のゴキゲン中飛車に。対して先手の羽生王将はそれに対抗する戦いになりました。
序盤12手目△5六歩と突いてゴキゲン中飛車超急戦に発展した戦いを覗いてみましょう。

上図はゴキゲン中飛車超急戦に出てきた初めての局面です。
従来は▲6六香が多かったのですが、羽生王将はなんと▲9六角と王手飛車に。
この局面では色々と迷うところです。考えられる手を検討してみましょう。
まず△7二玉とかわしたらどうだったでしょうか。
以下▲3一龍△同金▲6三銀△8二玉▲5二銀成△7二金▲6一成銀△8九馬に▲5二飛ぐらいで先手が良さそうです。
次に△5三玉とかわした場合は、▲6六香△7四桂▲6一香成△1一馬▲7一成香△9九馬▲8一成香△9四香▲4五桂△4二玉▲7四角△同歩▲3三銀△同馬▲同桂成△同玉に▲4五桂でやはり先手がいいです。
途中△9四香の代わり△4二玉と早逃げしても、▲6三金△5一飛▲5三桂△3二金に▲8二成香ぐらいで先手が良さそうです。
また、△7四桂と防いでも▲1三龍△5三玉▲6五香△7二金に▲7五歩と突かれて後手が苦しくなります。
本譜は△7四歩と指しましたが、この後の展開を見てもあまり有効な手ではなかったようです。
下図は、局面進んで中盤(と呼べるのかは疑問ですが)47手目に先手が▲6五歩と突いた局面です。

本譜はここで△5三銀でしたが、△8六角と王手する手はなかったでしょうか?
これに▲6八金寄とすると、△7六銀不成▲7七歩△6五銀▲8七桂(△7五角を防ぐ)△7五歩▲6六歩に△7四銀として、本譜よりは後手が戦えていたかもしれません。
しかし、△8六角にひょいと▲4九玉とかわされると難しそうです。△6五歩にはすかさず▲6四歩と打たれて、角(馬)交換後▲4六角の王手で先手を取られます。
結果、本局は挑戦者の久保八段にとって不甲斐ない内容になってしまいました。
第3局以降どんな戦いに向かうのか、また久保八段に秘策はあるのか興味が尽きません。
その対局からポイントを拾い上げてみます。
戦型は大方の予想通り後手久保八段のゴキゲン中飛車に。対して先手の羽生王将はそれに対抗する戦いになりました。
序盤12手目△5六歩と突いてゴキゲン中飛車超急戦に発展した戦いを覗いてみましょう。

上図はゴキゲン中飛車超急戦に出てきた初めての局面です。
従来は▲6六香が多かったのですが、羽生王将はなんと▲9六角と王手飛車に。
この局面では色々と迷うところです。考えられる手を検討してみましょう。
まず△7二玉とかわしたらどうだったでしょうか。
以下▲3一龍△同金▲6三銀△8二玉▲5二銀成△7二金▲6一成銀△8九馬に▲5二飛ぐらいで先手が良さそうです。
次に△5三玉とかわした場合は、▲6六香△7四桂▲6一香成△1一馬▲7一成香△9九馬▲8一成香△9四香▲4五桂△4二玉▲7四角△同歩▲3三銀△同馬▲同桂成△同玉に▲4五桂でやはり先手がいいです。
途中△9四香の代わり△4二玉と早逃げしても、▲6三金△5一飛▲5三桂△3二金に▲8二成香ぐらいで先手が良さそうです。
また、△7四桂と防いでも▲1三龍△5三玉▲6五香△7二金に▲7五歩と突かれて後手が苦しくなります。
本譜は△7四歩と指しましたが、この後の展開を見てもあまり有効な手ではなかったようです。
下図は、局面進んで中盤(と呼べるのかは疑問ですが)47手目に先手が▲6五歩と突いた局面です。

本譜はここで△5三銀でしたが、△8六角と王手する手はなかったでしょうか?
これに▲6八金寄とすると、△7六銀不成▲7七歩△6五銀▲8七桂(△7五角を防ぐ)△7五歩▲6六歩に△7四銀として、本譜よりは後手が戦えていたかもしれません。
しかし、△8六角にひょいと▲4九玉とかわされると難しそうです。△6五歩にはすかさず▲6四歩と打たれて、角(馬)交換後▲4六角の王手で先手を取られます。
結果、本局は挑戦者の久保八段にとって不甲斐ない内容になってしまいました。
第3局以降どんな戦いに向かうのか、また久保八段に秘策はあるのか興味が尽きません。
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最近はネット将棋も公式戦として認められるようになりました。
大和証券杯のネット将棋・女流最強戦もその一つです。
その中から、1回戦最後の対局となった中井広恵女流六段対早水千紗女流二段戦を取り上げてみましょう。
戦型は後手番の早水女流二段からの一手損角換わり戦となり、中盤に入ったところで早くも後手が一本取った形になりました。
図は先手の中井女流六段の▲2三歩成に後手が△同金と取った局面です。

ここから本譜は▲2五桂と跳ねましたが、折角2三に成り込んだのなら強く▲同飛成と指す手はあったと思います。
以下は△同玉に▲4一角と打ち、△2四玉なら▲2五歩△3五玉▲4七金で明らかに先手が優勢でした。途中△2四玉のところ△3二飛と守るのは、以下▲2四歩△同銀▲3一金△5一金▲3二角成△同飛▲同金△同玉となり、先手に飛車を二枚持たれて後手が不利です。
本譜の進行で、上図から▲2五桂に対して△2四銀▲7五歩となったのが下図の局面です。

本譜はさらに△3七馬▲6八飛△6四馬▲2八角と進んで形勢が微妙になりました。馬を飛車先の筋に引き付けたのが問題で、この後逆に先手から反撃を食らうことになったのです。
△3七馬の代わりに単に△2五銀と桂馬を戴いておけば、後手が優勢のまま進んでいたでしょうね。
本局は大逆転の展開となり、先手の中井女流六段が見事後手玉を寄せて勝ちきりました。
持ち時間の短いネット将棋の為か両者とも緩手が多く、決して本来の実力が発揮された対局ではなかったように思います。
大和証券杯のネット将棋・女流最強戦もその一つです。
その中から、1回戦最後の対局となった中井広恵女流六段対早水千紗女流二段戦を取り上げてみましょう。
戦型は後手番の早水女流二段からの一手損角換わり戦となり、中盤に入ったところで早くも後手が一本取った形になりました。
図は先手の中井女流六段の▲2三歩成に後手が△同金と取った局面です。

ここから本譜は▲2五桂と跳ねましたが、折角2三に成り込んだのなら強く▲同飛成と指す手はあったと思います。
以下は△同玉に▲4一角と打ち、△2四玉なら▲2五歩△3五玉▲4七金で明らかに先手が優勢でした。途中△2四玉のところ△3二飛と守るのは、以下▲2四歩△同銀▲3一金△5一金▲3二角成△同飛▲同金△同玉となり、先手に飛車を二枚持たれて後手が不利です。
本譜の進行で、上図から▲2五桂に対して△2四銀▲7五歩となったのが下図の局面です。

本譜はさらに△3七馬▲6八飛△6四馬▲2八角と進んで形勢が微妙になりました。馬を飛車先の筋に引き付けたのが問題で、この後逆に先手から反撃を食らうことになったのです。
△3七馬の代わりに単に△2五銀と桂馬を戴いておけば、後手が優勢のまま進んでいたでしょうね。
本局は大逆転の展開となり、先手の中井女流六段が見事後手玉を寄せて勝ちきりました。
持ち時間の短いネット将棋の為か両者とも緩手が多く、決して本来の実力が発揮された対局ではなかったように思います。
昨日対局があったマイナビ女子オープンから、斎田晴子女流四段-鈴木環那女流初段戦を取り上げます。
この対局は終盤に大きなドラマがあり、信じられないくらいの逆転劇でした。
それでは終盤の局面を見てみましょう。

上図は直前の▲5四角の王手に後手が△4三歩と打ったところです。先手も危ない格好ですが、寧ろここは先手の方が優勢でした。
ここで本譜は先手の斎田女流四段が▲5一飛と打ちましたが、この手が悪手で鈴木女流初段に△4四角と歩を取られ勝機が消えてしまいました。
ここは▲3五銀なら先手がそのまま勝っていました。
△3七歩の詰めろには、▲4三歩成△同金▲同角成△同玉▲3四銀△同玉▲3二飛以下の即詰みです。
また、△3五同金でも▲4三歩成△同金▲4一角以下複雑ですが先手が勝っています。
局面はさらに進んで最終盤、134手目後手が△1七桂と打って必勝と思われていたところ、ここでもドラマがありました。

本譜は▲同香と桂馬を取ってしまったんですが、以下△1六歩▲同香△同香・・・で、そのまま後手の勝ちとなりました。
ここでは▲2五香と金をとっていれば、この手が詰めろ逃れの詰めろになっていて先手が再逆転していたと思います。
つまり、△1七桂は後手にとって悪手で、代わりに△1六歩なら▲1八歩に△1七桂で決まっていました。手順前後なんですね。
またもう一つ言えるのは、その前の132手目に後手が△3七歩と詰めろに打ってきたところは、▲同桂でなくて▲同銀なら先手が優勢だったでしょう。
このように最後の局面でいろいろとドラマがあり、見ている方はさぞ面白かったでしょう。
勝った鈴木環那女流初段も信じられないような結果で、全体的に内容が良くなかっただけに自分の将棋事態には不満だったとのこと。
女流棋士はやはり最後の詰めにまだあまいところがあり、この辺りにも男性棋士との差があるように思われますね。
この対局は終盤に大きなドラマがあり、信じられないくらいの逆転劇でした。
それでは終盤の局面を見てみましょう。

上図は直前の▲5四角の王手に後手が△4三歩と打ったところです。先手も危ない格好ですが、寧ろここは先手の方が優勢でした。
ここで本譜は先手の斎田女流四段が▲5一飛と打ちましたが、この手が悪手で鈴木女流初段に△4四角と歩を取られ勝機が消えてしまいました。
ここは▲3五銀なら先手がそのまま勝っていました。
△3七歩の詰めろには、▲4三歩成△同金▲同角成△同玉▲3四銀△同玉▲3二飛以下の即詰みです。
また、△3五同金でも▲4三歩成△同金▲4一角以下複雑ですが先手が勝っています。
局面はさらに進んで最終盤、134手目後手が△1七桂と打って必勝と思われていたところ、ここでもドラマがありました。

本譜は▲同香と桂馬を取ってしまったんですが、以下△1六歩▲同香△同香・・・で、そのまま後手の勝ちとなりました。
ここでは▲2五香と金をとっていれば、この手が詰めろ逃れの詰めろになっていて先手が再逆転していたと思います。
つまり、△1七桂は後手にとって悪手で、代わりに△1六歩なら▲1八歩に△1七桂で決まっていました。手順前後なんですね。
またもう一つ言えるのは、その前の132手目に後手が△3七歩と詰めろに打ってきたところは、▲同桂でなくて▲同銀なら先手が優勢だったでしょう。
このように最後の局面でいろいろとドラマがあり、見ている方はさぞ面白かったでしょう。
勝った鈴木環那女流初段も信じられないような結果で、全体的に内容が良くなかっただけに自分の将棋事態には不満だったとのこと。
女流棋士はやはり最後の詰めにまだあまいところがあり、この辺りにも男性棋士との差があるように思われますね。
先日のNHK杯将棋トーナメント、丸山忠久九段-三浦弘行八段戦は双方居飛車の戦いで見応えがありました。
結果的には終盤後手三浦八段が正確な差し手で勝利をものにしましたが、先手の丸山九段にも勝つチャンスは幾らかあったと思います。
下図は124手目後手が△5六馬と引いたところ。この局面では先手の方が優勢でした。

本譜はここで▲4一飛と打ち込みましたが、この手はアマチュアの方達が指すような手でイマイチでした。
ここでは▲6二銀左成で寄っていました。この手は▲4二飛以下の詰めろです。
3・4・5筋の歩を空けても▲5二成銀で寄り。△3二金でも▲5二成銀です。
他に防ぐ手はないようです。かといって△8六金や△8六銀と攻めても続きません。
丸山九段は対局中咳が続いていて、体の調子が良くなかったのでしょうね。本来ならよく考えれば寄せは発見できた筈です。
この後も勝つチャンスはあったと思います。
それにしても三浦八段は順位戦好調なだけにチャンスを逃しませんね。終盤の瀬戸際での正確な指し手が印象的でした。
結果的には終盤後手三浦八段が正確な差し手で勝利をものにしましたが、先手の丸山九段にも勝つチャンスは幾らかあったと思います。
下図は124手目後手が△5六馬と引いたところ。この局面では先手の方が優勢でした。

本譜はここで▲4一飛と打ち込みましたが、この手はアマチュアの方達が指すような手でイマイチでした。
ここでは▲6二銀左成で寄っていました。この手は▲4二飛以下の詰めろです。
3・4・5筋の歩を空けても▲5二成銀で寄り。△3二金でも▲5二成銀です。
他に防ぐ手はないようです。かといって△8六金や△8六銀と攻めても続きません。
丸山九段は対局中咳が続いていて、体の調子が良くなかったのでしょうね。本来ならよく考えれば寄せは発見できた筈です。
この後も勝つチャンスはあったと思います。
それにしても三浦八段は順位戦好調なだけにチャンスを逃しませんね。終盤の瀬戸際での正確な指し手が印象的でした。
皆さん、明けましておめでとう御座います。
本年も宜しく御願いします。
さて、将棋世界2月号に大反響があったNHK杯将棋トーナメント▲羽生二冠-△中川七段戦が、中川七段自身の解説で載せられていますね。この対局をテレビで見ていた方は、誰もが最後の大逆転劇には驚いたことでしょう。私もそうです。
中盤から終盤に掛けて後手中川七段の攻勢に、先手の羽生二冠もこれまでかと思わせる場面が幾つもありました。
そして、最後にあのドラマが待ち受けていたのですが・・・。
下図は将棋世界2月号に第5図として掲載されている局面で、本譜はここから△2六歩と飛車を取ったのが大悪手となり、後手の中川七段がまさかのトン死を食らいました。

中川七段の解説によると、△2六歩では△9八龍と角を取って、以下▲2四銀△同玉▲3六桂△2三玉▲2五飛△2四歩▲同桂△4八龍▲同玉△5八金▲3九玉△3八銀▲同玉△4九角▲2九玉△2八歩▲同玉△2七金▲同飛△同角成▲同玉△2五香▲2六歩△2九飛(参考1図)▲3八玉△2六飛成なら後手が勝ちとのことです。
しかしながらよく考えてみますと、最後の△2九飛のところで▲2八角と合駒されるとどうでしょうか?

参考1図から、▲2八角△2六香▲同玉△2八飛成▲2七金△2五歩▲3六玉△2七龍▲同玉△4八金の詰めろには、▲5三飛(参考2図)で先手が勝ちになります。(3三のところに合駒することになり、先手玉の詰めろが消える)

他に対応する手がなければ、中川七段が披露されている手順は疑問になりそうです。
私自身は掲載されている第5図から△1九龍と香車を取る方が無難だと思いますが、どうでしょうか?
本年も宜しく御願いします。
さて、将棋世界2月号に大反響があったNHK杯将棋トーナメント▲羽生二冠-△中川七段戦が、中川七段自身の解説で載せられていますね。この対局をテレビで見ていた方は、誰もが最後の大逆転劇には驚いたことでしょう。私もそうです。
中盤から終盤に掛けて後手中川七段の攻勢に、先手の羽生二冠もこれまでかと思わせる場面が幾つもありました。
そして、最後にあのドラマが待ち受けていたのですが・・・。
下図は将棋世界2月号に第5図として掲載されている局面で、本譜はここから△2六歩と飛車を取ったのが大悪手となり、後手の中川七段がまさかのトン死を食らいました。

中川七段の解説によると、△2六歩では△9八龍と角を取って、以下▲2四銀△同玉▲3六桂△2三玉▲2五飛△2四歩▲同桂△4八龍▲同玉△5八金▲3九玉△3八銀▲同玉△4九角▲2九玉△2八歩▲同玉△2七金▲同飛△同角成▲同玉△2五香▲2六歩△2九飛(参考1図)▲3八玉△2六飛成なら後手が勝ちとのことです。
しかしながらよく考えてみますと、最後の△2九飛のところで▲2八角と合駒されるとどうでしょうか?

参考1図から、▲2八角△2六香▲同玉△2八飛成▲2七金△2五歩▲3六玉△2七龍▲同玉△4八金の詰めろには、▲5三飛(参考2図)で先手が勝ちになります。(3三のところに合駒することになり、先手玉の詰めろが消える)

他に対応する手がなければ、中川七段が披露されている手順は疑問になりそうです。
私自身は掲載されている第5図から△1九龍と香車を取る方が無難だと思いますが、どうでしょうか?
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